「子供を藤井聡太にしたい親」への助言――石田直裕四段の例に見る

 近年、将棋が空前のブームとなっている。「聖の青春」「三月のライオン」といった作品がヒットし、昨今では史上最年少プロ・藤井聡太四段が快進撃を続けている。  実は藤井四段と筆者は彼が小6のときからの付き合いである。彼の可能性に目を付けて雑誌の企画で取材し、その後家に泊まってもらったこともあり、筆者はずっと“エセ後見人”を務めている。  だからこそ、彼が時代の寵児となり、全国の注目を集め、将棋に光が当たるのは涙が出るほど嬉しい。  だが、一つ気になることがある。  ワイドショーなどで必ず話題になるのが「収入・賞金」である。藤井四段がこのまま快進撃を続け、賞金最高額のタイトル「竜王」を獲得すれば4320万円である。「そんなにもらえるなら、私の子供にも将棋をさせようかな」というコメンテーターがちらほら見られる。だが、一言だけ言っておく。 「冗談もほどほどにしてくれ」と。  当たり前だが、プロ棋士の中で竜王になれるのは一人だけである。  しかも棋士になれるのは年間4人。プロ棋士約160人中、一人しか四千万円をもらえないのだ。  端的に言って、竜王・名人になるのは横綱や総理大臣になるより難しい。子供に四千万円稼がせたいなら、読売巨人軍で一軍を目指すほうがよほど簡単だ。ジャイアンツでなくとも、プロ野球12球団のレギュラークラスになれば、それくらいもらえる。  子供の知能・情操教育に将棋を取り入れるのは大賛成だ。だが、万が一あなたが藤井四段を見て「将棋で子供に稼がせよう」とお思いなら、以下を読んでからにしていただきたい。
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石田直裕四段の場合
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