米英の大手銀行トップらも騙されたなりすましメールの恐怖! 防衛対策は経営陣にこそ必要

返信の仕方によっては、大問題に発展していた可能性も

 バークレイズCEOが騙されて大きな話題になった後、英中銀イングランド銀行総裁であるカーニー総裁も被害にあいました。  カーニー総裁は、内部監督機関のチェアマンであるハブグッド氏になりすました犯人とメールのやり取りをしたとされています。  なお、カーニー総裁のケースでは、メールのやり取りの終わり方が非常に印象的。  なりすました犯人は、カーニー総裁をパーティーに誘った後、女性を雇った(文脈からパーティーのために雇った女性なのは明らか)としましたが、カーニー総裁は、「まったく適切ではない」と返信し、これ以降は会話を続けませんでした。  騙されていたことを除き、スマートに会話を打ち切ることができたのは不幸中の幸いといえます。この返答の仕方によっては、総裁としての資質が問われ、大問題となっていたことが想像できます。  犯人はさらに、ゴールドマン・サックスCEO、シティグループCEOにも犯行を仕掛けています。  ゴールドマンのケースでは、犯人はシュワルツCFOになりすまし、ブランクファインCEOとメールのやり取りをしています。  犯人は、ブランクファインCEOのユーモアに富んだツイートに関してコメント。これに関する短いやり取りが行われました。  シティグループの場合、オニール会長になりすました犯人が、コルバットCEOと、コンシューマーバンク部門トップのバードCEOとメッセージの交換をしています。  コルバット氏は(リンクを)「開くことができない」とし、それで終わりました。  一方、バード氏とは、もう少し長いやり取りが行われているので、より「騙された」感があります。  いずれの場合も、機密情報が漏れたなど確認されていませんが、もし犯人の目的が違っていたら、非常に危なかった状況といえます。  例えば、シティグループのケースでは、「リンク」に関する言及がありますが、万が一犯人が開いたら危険なリンクを送っていたらと考えると、いかにそれが危険だったかが分かります。
次のページ
経営陣こそ研修を受けなければいけない
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会