2011年よりブログ「
マンションマニアの住まいカウンター」を運営する、マンション評論家のマンションマニア(
@mansionmania)氏に話を聞いた。
「ロンドンのタワーマンション火災にはびっくりしました。犠牲者のことを思うと、心が痛みます。ただし、日本のタワーマンションに関しては、火災の際に火が隣戸などへ燃え移らないように建設されているため、今回のようなことにはなりません。
実際に日本のタワーマンションでも火災が発生していますが、そのような事態にはなっていません。最近の事例では、今年2月に所沢の31階建てのマンションの15階の部屋から火事が発生しましたが、男女2人が病院に搬送されたのみで、死者は出ませんでした」
日本のタワーマンションは火災に備えた設計になっているのだ。さらに、それ以外にもさまざまな防火対策が施されているという。
「梯子車が届かない部分にはスプリンクラーが設置されています。その他、防火シャッターなど防災面には力を入れているところが多いです。非常用エレベーターもありますから、火災の際は消防隊員が利用して上階へ向かうこともできます」
とはいえ、築年数が高いタワーマンションだったり、分譲マンションの場合は、注意して購入する必要もあるという。
「タワマンというのはそれだけ維持費がかかる建物ということですから、分譲の場合、住んでいる住民がお金を出し合い、スプリンクラーなどの設備を維持していく必要があります。築年数が経過すれば設備の更新も必要でしょう。
販売時は華やかな良いことばかりアピールしますから、将来のコストについてはあまり考えないかもしれませんが、住んでからお金がかかる建物だということを知らずに購入してしまう方がいるのが問題点でしょうか」
消防法などの規制が厳しい日本では、今回のロンドンで起こった火災建物のような消防設備の点検不備や開発業者や管理会社の長期にわたる怠慢はないかもしれない。とはいえ、タワーマンション居住者は、日頃の火災消火・避難訓練だけではなく、建物の特性や立地や環境など危険特性に応じた内容を把握しておかねばならないだろう。
<取材・文/HBO取材班>