「円安は日本経済にとって弊害」闇株新聞
2014.12.01
日銀の追加緩和で消費増税の下地が整った……と思っていたら、ここへきての解散。来年10月の消費税10%への引き上げは見送られそうだ。日銀に対してハシゴを外す形となる安倍政権の解散の目的とはなんなのか? マーケットの裏側を知り尽くした闇株新聞氏が解説する。
(ブログ&有料メルマガ管理人「闇株新聞」氏)
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ただし、株高はともかく、円安は日本経済にとって弊害でしかない。貿易赤字がさらに増加することに加え、そうでなくても金利水準と投資収益水準が低く、通貨(円)が下落している日本に投資する外国人がますます少なくなる。それよりも日本国内の金融資産がどんどん海外に流出してしまい、いずれ1000兆円を超える公的負債を支えきれなくなってしまう。たかだか年間数兆円の消費増税のために日本経済を「大不況」にして、さらに円安で金融資産を流出させて財政破綻の可能性を自ら高めるのが、消費増税とそのための「異次元」量的緩和なのである。
とりあえず、安倍首相には頑張ってもらうしかなさそうである。
【今週の数字】
’14年7~9月期 GDP速報値(年率換算)
-1.6%
日本経済研究センターがまとめた民間エコノミスト42人の事前予測は物価変動を除いた実質GDPが0.62%。年率換算で2.47%だった。予想よりも大幅なマイナスに
【選者】「闇株新聞」氏
’10年にブログ「闇株新聞」(http://yamikabu.blog136.fc2.com/)を創刊。管理人は大手証券においてトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった経験を生かして記事を執筆。特に’11年10月の「オリンパス事件」や’12年3月の「AIJ投資顧問事件」で専門家もうなる詳細記事を書いて話題に。’12年から有料メルマガ「闇株新聞プレミアム」(月額2600円)を開始。『闇株新聞 the book』(ダイヤモンド社)も発売中
図版/ミューズグラフィック
消費増税を“前提”にしていたはずの追加緩和と年内解散・総選挙の意味とは?【後編】
『闇株新聞 the book』 刺激的金融ブログ「闇株新聞」主筆が書き下ろす、為替、株、日本国債の今後 |
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