「アベノミクスは増税に利用されてきた」闇株新聞

消費増税を“前提”にしていたはずの追加緩和と年内解散・総選挙の意味とは?

(ブログ&有料メルマガ管理人「闇株新聞」氏)  日銀の追加緩和で消費増税の下地が整った……と思っていたら、ここへきての衆議院解散。それでは近年まれに見る安定政権だったはずの安倍内閣が、なぜ前回の総選挙からわずか2年で解散に踏み切るのか?  消費税率は’12年8月に成立した消費増税関連法案により’14年4月から地方税分も含めて8%となり、’15年10月から10%に再引き上げられることになっている。今回はその再引き上げを’17年4月に延期するために国民の信を問うのであるが、本来はそのために解散・総選挙が必要なわけではない。国会で堂々と審議して法律改正を行い、延期でも白紙撤回でも行えばよいのである。  そうしない理由は「反対」が多いからである。消費増税には推進する財務省や日銀だけではなく、法人減税の恩恵を受けたい大企業も大賛成であり、自民・公明をはじめ民主・みんな・維新などの大半の議員も本音では大賛成。税収が確保されることは議員にとってもメリットが多いからであろう。  このままだと消費増税賛成派に押し切られてしまう安倍首相が、専権事項である衆議院の解散に踏み切り、何とか1年半だけ再増税を延期しようとしているのである。安倍首相の「本音」は、自分だけが消費増税の決定者にされて人気が陰り、虎視眈々と後釜を狙う自民党幹部が有利になるからであるが、そもそも就任以来の「アベノミクス」とは消費税を10%にするために利用されていたことにようやく気がついたのかもしれない。  事実、11月17日に発表された’14年7~9月期GDPの速報値はマイナス1.6%であり、4~6月期が7.1%の大幅マイナスだったことを考えると、やはり4月の消費増税以降に日本経済は大きく落ち込んでいたことになり、さらに再増税が強行されれば来年は「大不況」になるはずである。
GDP

実質GDPは今年4月の消費増税後に大幅なマイナスに。前四半期に対する伸び率を見るため、当初は7~9月期はプラスに転じると予想されていた

 しかし、消費再増税が行われることを前提に、日銀は10月末に追加量的緩和に踏み切ってしまった。もともと日銀の「異次元」量的緩和とは、日本経済を本格的に回復させるためではなく、安直に円安・株高(この順番である)にして消費増税を強行するためであり、確かに今回も1ドル=117円台の円安になり日経平均も1万7000円台に到達した。 ⇒【後編】「円安は日本経済にとって弊害」に続く http://hbol.jp/14326 【選者】「闇株新聞」氏 闇株新聞’10年にブログ「闇株新聞」(http://yamikabu.blog136.fc2.com/)を創刊。管理人は大手証券においてトレーディングや私募ファイナンスの斡旋、企業再生などに携わった経験を生かして記事を執筆。特に’11年10月の「オリンパス事件」や’12年3月の「AIJ投資顧問事件」で専門家もうなる詳細記事を書いて話題に。’12年から有料メルマガ「闇株新聞プレミアム」(月額2600円)を開始。『闇株新聞 the book』(ダイヤモンド社)も発売中
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