「そんな、加熱する住宅ニーズを逃さず利益を得るために、デベロッパーと中国の地方政府が結託して『商業用の土地の建物だけど、住居同様に住める』ことを売りにする商品が登場しました。これが、『酒店式公寓(ホテル式アパートメント)』です。もちろん、戸籍登録はできなかったり、譲渡時の税金が高いなどの問題はありますが、資金が少ない層やその土地の生まれでない人にとっては、ステップアップまでの住居として人気の商品となったんです。ブームになったら中央政府までもが『商改住』と言い出して、商業用途のビルでも住居用として転用可能だと言い出しました。いわば、『お墨付き』を与えたようなものです」
こうなると、この「酒店式公寓」も価格が上昇し、今度は投機対象で購入する人も増え、皮肉にもこちらも価格高騰するという結果になってしまった。
そうした投機目的への取り締まりの意味もあったのか、今年に入ってから、風向きが変わってきた。
「今年の2月に、上海の闵行区(ミンハン区)のある酒店式公寓で、区が商住両用房は違法であるという指導を行い、内装工事を停止し、上下水道、ガス管、トイレ、キッチン、メゾネット部分を全て撤去しオフィス用途へ現状復帰しますと一方的な通知がなされたんです」
この闵行区(ミンハン区)の一件を皮切りに、状況は一変したという。
区行政の内部関係者からこの「酒店式公寓(ホテル式アパートメント)」の規制と取り壊しを展開する方針であるという議事録が流出し、その後公式に「酒店式公寓(ホテル式アパートメント)」が違法であるとアナウンスされたのである。
さらには政府系ニュースなどが、酒店式公寓の購入者・住人たちを「投機目的で集まった金の亡者」のような扱いで批判し始めたという。