与野党議員が嘆く、「民意の不在」

「市民の声」は無視できない

 一体何が足りないというのか? 「市民の声ですよ。やっぱりなんだかんだ言って、与野党限らず、国会議員は、デモや抗議活動に気を配るんですよ。なんてったって世論が怖いんだから。そしてデモや抗議活動に行く人は、選挙に行くわけですから。自民党の議員も公明党の議員も、もし今、安保法制の頃のようなデモがあったら、だいぶ動揺すると思いますよ。だって実際、安保法制の頃、自民党の一部議員はだいぶ揺れてたんだから」  果たして本当にそうか? 前出の自民党参議院議員に聞いてみた。 「まあ、デモが大きいから自分の態度を変えるかどうかと言われれば、YESでもありNOでもありますなぁ。子供じゃないんだから。でもね」  ここでコーヒーを一口すすって、こう続ける。 「民意は恐ろしい。恐ろしいんですよ。もし、いま、『国会を軽視するな!』『民主主義を守れ!』と、例えば韓国の朴槿恵大統領糾弾デモのような事が起こったら、僕たちだって、『いろいろ』できますわな」  いろいろ、とは、どういうことなのか? 「まあ、僕たちだって黙ってるばっかりじゃないんだから。自分の選挙も怖いしね。それにね、ほら、言いにくいことだけどさ、安倍さんのお爺さんの内閣は、それで潰れたようなもんでしょ?なんにせよ、市民の声は、恐ろしいもんですよ」 <取材・文/菅野完(Twitter ID:@noiehoie)> ※菅野完氏の連載、「草の根保守の蠢動」が待望の書籍化。連載時原稿に加筆し、『日本会議の研究』として扶桑社新書より発売中。同作が第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれた。また、週刊SPA!にて巻頭コラム「なんでこんなにアホなのか?」好評連載中
すがのたもつ●本サイトの連載、「草の根保守の蠢動」をまとめた新書『日本会議の研究』(扶桑社新書)は第一回大宅壮一メモリアル日本ノンフィクション大賞読者賞に選ばれるなど世間を揺るがせた。メルマガ「菅野完リポート」や月刊誌「ゲゼルシャフト」(sugano.shop)も注目されている
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