「正直、国会軽視、だよね。軽視って言葉は生温いかも。ほぼ国会として機能してない。政府がまともに答えないから議論なんか発生してないし、野党もだらしないから怒らない。僕ら全員、給料泥棒みたいなもんだよ」
驚くべきことに、取材に応じてこう答えたのは、野党議員ではなく、西日本選出の自民党参議院議員だ。
「共謀罪の参院審議入りだって、民進党も共産党もほぼ無抵抗だったよね。僕ら自民党の野党時代だったらここで確実に完全審議拒否に打って出てて暴れまくってた。しかし、まあ、今の政府なら、無駄かもね。何しようが、馬耳東風で無茶な国会運営になるんだろうけどなぁ」と、この自民党参議院議員は、野党時代の自党の姿と今の野党を比べて「野党が不甲斐ない」と嘆いて見せる一方、「今の政府の無茶苦茶さ」をも指摘する。与党議員の中にも、国会があまりにも軽視されている現状を嘆く声があるのは事実だ。
一方、「不甲斐ない」と指摘される当の野党議員はどう考えているのか?
「そりゃ、『黙ってたらだめ! 政府が国会の要求を完全に無視するのなら、審議に応じる必要はない!審議拒否で当然だ!』って声は、私だけでなく、他の同僚議員もあげてますよ。でもね、執行部が及び腰でね……」と嘆息しながら答えたてくれたのは、民進党のとある衆議院議員。
別の野党議員も「確かに、野党時代の自民党に比べたら僕らはおとなしい。審議中に物投げたり、大声あげたりしないもの。野蛮かもしれないが、野党時代の自民党ぐらいやんなきゃダメなのかなぁ」と半ば、自分たちの「不甲斐なさ」を認めている。
前出の民進党議員はこう続ける。
「確かに、私たちは不甲斐ない。普通の国なら、ここまで議会が軽視されたら議会はボイコットするのが当たり前。だって政府がそもそも議会を必要としてないのだもの。こんなの民主主義でもなんでもないんだから。だからここで審議拒否するのはむしろ当然でしょう。でもね、何か足りない。何かが足りないんですよ、審議拒否するには」