東村山の美住一番街のように、住民の高齢化や買い物環境に課題を抱えている団地は全国的に数多く存在している。
URが住宅団地の住民などを対象に行っている定期調査によると、2015年の高齢人口(65歳以上)率は同年実施された国勢調査(速報値)の26.7%よりも高い34.8%を記録しており、住民の「3人に1人」が高齢者という状況だ。
そのような「高齢化」が進む中で、60歳以上の住民が希望するサービスは「家事・買い物代行」や「食事宅配」といった項目が大きなウエイトを占めるなど、団地内における高齢者向けの買い物環境・サービスの整備は喫緊の課題となっている。
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UR賃貸住宅における年齢層別人口構成。団地を中心としたUR住宅の高齢化率は国勢調査よりも高い値を示している。 (UR「平成27年賃貸住宅居住者定期調査」を基に筆者作成)
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60歳以上の住民を対象にしたアンケートでは、緊急時や安否確認など生死に関わる問題に次いで、買い物代行や食事宅配など生活環境についての希望が中心となった。 (UR「平成27年賃貸住宅居住者定期調査」を基に筆者作成)
もともと高度経済成長期に開発された多くの住宅団地には、広場や団地下層階などに住民の消費の場として設けられた小規模な「団地商店街」があり活況を呈していたが、現在は住民利用者の減少や商店主の高齢化などで「シャッター商店街」と化している場所が多く、利便性向上と賑わい創出のために空き店舗の有効活用が求められていた。
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こちらも商店街が併設されている「UR洋光台中央団地」(横浜市磯子区)。 この団地では建築家の隈研吾氏やデザイナーの佐藤可士和氏が参画する団地活性化プロジェクトが行われている
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東村山市のおとなり、東久留米市の大規模団地「UR滝山団地」にある商店街。 首都圏屈指のマンモス団地の消費を支えた商店街であるが、空き店舗が増えつつある。 こうした団地商店街の空き店舗問題は全国で深刻化している
近年、URでは、無印良品との提携や有名建築家の起用による「居住空間の全面リノベーション」により若い世代の入居が進んでいる団地が脚光を浴びているが、その一方で、既存団地に併設された「団地商店街」の活性化はあまり行われていないのが実情であった。
居住空間のリノベーションとともに「団地特化型コンビニ」の導入による団地商店街の活性化は、「暗くて時代遅れの公団団地」というイメージの払拭にも繋がる。
好調な滑り出しを見せたURの「団地特化型コンビニ」1号店。URはこうした「団地特化型コンビニ」を全国の約100団地に出店させる予定で、URとしては、コンビニの出店により団地商店街全体の集客力を上げることで、空き店舗の解消も狙いたいところであろう。
今後の各団地の「変化」が楽しみだ。
【都市商業研究所】
若手研究者で作る「商業」と「まちづくり」の研究団体。Webサイト「都商研ニュース」では、研究員の独自取材や各社のプレスリリースなどを基に、商業とまちづくりに興味がある人に対して「都市」と「商業」の動きを分かりやすく解説している。Twitterアカウントは「
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