調布駅前開発で99本の樹木が“コッソリ”伐採の危機

ekimaenojumoku

伐採の危機にある調布駅前南口の樹木。長い間、調布市民に親しまれてきた

住民に知らせる前に木を伐採、東京都が認可

 調布駅の南口広場に交番を作るため、7本の樹木(シラカシなど)が突然切られたのは昨年3月3日の夜。住民への周知は駅前広場の掲示板だけだったので、ほとんど誰も気づかなかった。  これは序の口だった。調布市は、その前月の2月、駅前のバスロータリー拡張と地下駐輪場(1900台収容)など駅前広場の建設のため、広場の樹木99本すべてを伐採すると市議会議員に報告していた。  そして、4月には舛添要一東京都知事(当時)が地下駐輪場の都市計画を事業認可する。総工費19億円のうち、14億円は国と東京都からの補助金。一般市民がそれを知るのは一部の木が伐られ、認可された後の6月だ。  市が目指す完成時期は2018年。急いでいる理由は、市で開催する2019年ラグビーワールドカップと、2020年東京五輪のサッカー競技に間に合わせたいからだという。

「木を伐採する」との説明のない市民アンケート

 この住民軽視の姿勢に対し、調布市民の相馬友子さんが駅前で伐採反対の署名集めを開始、自治会を回った。この一人だけの活動に徐々に賛同者が増え、「調布駅前南口広場 樹木を守る会」(以下、守る会)が設立されると、署名は加速度的に増えていった。 「市民が立ち上がるなんて想定外だったのでしょう。署名が集まるほどに、市の街づくり事業課の主任、課長、その上の都市整備部の部長とじわじわと上の役職に会えるようになりました」(相馬さん)  そして11月8日、守る会は長友貴樹・調布市長と面談する。この時点で署名は1万2000筆に達していた。市長はすべて伐採する予定だった樹木を「11本残します。それで折り合いませんか?」と打診してきた。だが、守る会は妥協しなかった。問題の本質は、樹木だけではない。地下駐輪場も含めた駅前開発のありかたが住民に問われてこなかったからだ。  駐輪場計画については、実は2014年に市議会で疑問が出されてストップがかかっていた。これに対して、どうしても計画を実行したい市は「民意を問うため」にアンケートを実施。無作為に選ばれた3000人のうち1105人が回答、市の計画に570人が賛同した。ところが、このアンケートには「木が伐採される」という説明がなく、ただ「駅前広場の地下に駐輪場を整備」といった、誰もが賛同する選択肢しか書かれていなかったのだ。 「しかも市は、計画に賛同していない地元の自治会長さんが『伐採に賛成した』と議会に虚偽の報告をしたんです。これで議会も『それならば』と計画賛同にかじを切ることになりました」(「守る会」庄司洋子さん)
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住民の活動が伐採を「一時中断」
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