このような言語的パターンは、コンピュータアルゴリズムを使用して分析が可能だ。加えて、前述した時間的、構造的伝播パターンは、それぞれの数学的モデルをいくつか作成した後、どのモデルに近いか調べることで分析可能だという。それらの分析においては、ビッグデータや、ディープラーニングなど人工知能が役割を果たす。
今後、フェイクニュースを見破るアルゴリズムにとって課題となっているのは、“時間”だ。嘘が拡散した瞬間、瞬時に真偽を判別できなければ、人々にとって有用とはとても言えない。加えて、一度、広範囲に伝播され始めた情報は、嘘だと分かったとしても制御が難しい。多くの人間が“真実”と信じてしまえば、多かれ少なかれ被害はおのずと生まれてくる。
2008年の大統領選挙当時、「オバマはイスラム教徒である」というフェイクニュースが出回ったが、それを判断するためには約2ヶ月がかかったという。その理由は、データを集め分析する必要があったから。ただ現在では、ディープランニングを使用することで、分析時間が短縮されはじめているという。直近では、「第3次世界大戦が今日起こる」というフェイクニュースが出回ったが、それを嘘だと判断するのにかかった時間は2~3時間にまで短縮されたそうだ。
韓国の研究チームは、ほどなく数百万件の噂やフェイクニュースを、より迅速に判断できると自信をのぞかせている。昨今、人間がすべて検閲することができないほど膨大なデータが日々生まれては拡散しているが、データさえ確保できれば、人工知能を使った真偽の判断が可能になるというのだ。
人工知能は情報社会に蔓延する嘘を見抜くことができるようになるのだろうか。研究結果だけを聞いている限り、時間や構造、言語的特徴を入力して、数秒以内にフェイクニュースを検出可能になる日は、それほど遠くないように思える。
※参照:
‘인공지능’으로 가짜뉴스 잡아낸다
<取材・文/河鐘基(
ロボティア編集部)>
【ロボティア】
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