フェイクニュース発信の意図には“政治的工作”という一面もある。これは、いかにも信頼性があるニュースの体裁を取ることで、競争相手や特定の集団を貶めるようというものだ。
韓国大学教育機関の双壁であるKAISTとソウル大学は、2014年からフェイクニュースを判別するための共同研究をスタートさせている。研究から約3年半、分散サーバ50台を接続し、世界5000万のツイッターユーザーが生産した20億のメッセージ、および20億のフォローリンクを分析してきた。結果、現在では膨大なデータをもとに、フェイクニュースのパターンをモデル化するまでにいたったという。それらモデル化されたアルゴリズムで過去に出回ったフェイクニュースを検証したところ、90%の精度で「嘘」であることを見抜くことに成功しているそうだ。
一方、フェイクニュースを人間に見せた際、それを嘘だと見抜ける精度は平均66%だったという調査結果も残されている。人間はメッセージそのものを見て真偽を判断するが、人工知能はメッセージの裏側、つまり様々な「伝播パターン」を捕捉・解析するため、その精度にもおのずと差が出てくるのだという。
なお、フェイクニュースには特徴的な3つのパターンがあるという。まずひとつは、伝播パーンが「ギザギザ」であるということ。これは、一般的なニュースに対して初期にだけ関心が高まり、やがて低くなるパターンとは対照的である。つまり、フェイクニュースの発信者が一定の目標を達成しようと、人為的な検索やコメント書き込みを行っているため、このような伝播パターンが生まれるということになる。
次に伝播者間のネットワーク構造に差がある。フェイクニュースは、関連がないユーザーたちが散発的に参加することで伝播される傾向にあるという。つまり組織が「点」であり、繋がりも希薄で、「線」の組織を形成することができない傾向にある。もう少し分かりやすく言うと、インフルエンサーなどフォロワーが多いユーザーが呼応する割合が低く、そのはじまりから繋がりが少ない人々を通じて伝播すると解釈できる。
最後にフェイクニュースは、一定の「言語的パターン」を伴い伝播する傾向がある。より具体的に言えば、「○○で聞いたのだけれど」、「デマかもしれないが」など「責任回避性言語」が使用される特徴があるという。