ただ、そんな労働環境であってもメキシコのエンジニアには魅力的だったようで、面接が行われたモンテレイ市のグラン・フィエスタ・アメリカーナ・ホテルは、会場外にまで就職希望者で溢れていたという。また、取材記者の安全を兼ねて市の警備員が彼らを保護したそうだ。メキシコ・シティから1000㎞を走行して面接に駆け付けた経験を積んだエンジニアもいたという。ロイターの取材に答えた一人は、<「テスラは新しいインノベーション企業だ。将来の発展性あることを提供してくれる」>と匿名希望で答えた。飛び込みで、直ぐに採用されると思って履歴書も持参せずに駆けつけた者もいたそうだ。(参照:「El Confidencial」)
テスラの当面の目標はカリフォルニア州フレモント工場で<2018年までに年間50万台の生産体制にする>ことである。(参照:「
Excelsior」)
特に、その中でも<「モデル3」は価格も3万ユーロ(370万円)>という高級電気自動車としては、手頃な価格帯であり、ミドルクラス市場への参入が可能になる車種を作ることをテスラは期待している。それが、販売台数の伸びに繋がると見ている一方で、既に、このモデルは<40万台を受注>している。<その最初の納入は9月に予定されており、2018年中には50万台の納入体制にするのがプランだ>としている。(参照:「
El Confidencial」、「
El Pais」)
モデル3が一旦市場に現れれば、それがさらに販売の拡大に繋がるとテスラは見ている。これまでの車種は「モデルS」が8万3000ユーロ(1000万円)、「モデルX」が10万3000ユーロ(1250万円)といった価格で、購入できる消費者の市場が狭い。しかし、モデル3は価格が一般の高級車と比較しても大差がなくなり、電気自動車がこれから市場でさらに普及すると見て、テスラの期待の大きい車種である。
一方、モデルXも高い価格ではあるが、<今年第一四半期だけで25418台を納品>している。(参照:「
La Vanguardia」)
更に、EVトラックとバスの製造も予定しているという。しかし、現状の生産能力ではトラックとバスの生産まで行けるか疑問もある。テスラの車は高級乗用車で環境に良い電気自動車ということから販売が進展している。しかし、トラックやバスとなると、環境に良い電気自動車という点は魅力があるが、高級トラックや高級バスということでは説得し難い。寧ろ、より実用性があるということが大事である。その上で、価格も従来のトラックやバスと比較して競争力がある必要がある。