1万機以上の衛星で地球を覆いブロードバンド・インターネットを
自社の衛星インターネット構想について語るスペースXのパトリシア・クーパー(Patricia Cooper)VP Image Credit: U.S. Senate
スペースXも、ワンウェブと似た衛星インターネット構想をもっていることは、2015年には明らかになっていた。しかし、具体的にどのような衛星や軌道を使うのか、いつごろのサービス開始を目指すのかといった詳細は、噂や、電波使用の申請書などから漏れ伝わってくるだけで、公式にはなかなか明らかにされなかった。
その一端が明らかになったのは、5月3日(米国時間)に開かれた米上院の商業・科学・運輸委員会だった。その中で、スペースXのパトリシア・クーパー(Patricia Cooper)VPは、自社の衛星インターネット構想について、4425機もの衛星を使って構築するのだと語った。
スペースXはさらに、この4425機だけでなく、7500機の衛星を追加で打ち上げる計画ももっている。この7500機は、4425機の衛星とは異なる、高い周波数帯を使い、より大容量の通信ができるようにするという。
クーパー氏は「このサービスは、米国をはじめ世界中の、インターネット環境が不十分、もしくは通ってすらいない地域に対し、高速で遅延が少なく、そして安価なブロードバンドを提供します」と語る。
山の中でも4G回線がつながるような、ネット普及率が90%を超える日本とは違い、米国は国土が広いこともあって、ブロードバンドはおろかインターネットすら行き届いていない地域はまだ多く、その人口は3400万人にも達するとされる。さらに全世界に目を向ければ、まだ約40億もの人がインターネットを利用できる環境にない。
もし彼らにも、現在の先進国と同等のブロードバンドを、それも低価格で提供できるようになれば、ネット人口は倍増し、ネットを使ったあらゆるビジネスにとって利用者の大幅な増加が見込める。