職場の同僚や部下の中でこのような変化に気付いた場合は、「ちょっといいですか。いつもと違うけれど、どうしたの?」と、ぜひ少し声をかけていただけると良いでしょう。
決して「それってメンタルかもしれないから、お医者さんに行けば?」などとは言わないで下さい。やはり上司や人事部だけでなく同僚から「医者に行け」と言われるのは、本人にとっては非常にイヤなことです。
なので、あくまでも見た目の変化を指摘する程度に「ちょっと心配なんだけど……」くらいに留めておくほうが無難です。
あるいは産業医やカウンセラーのいる会社であれば、「ちょっと相談に行ってみたら?」と声をかけるのも良いかもしれません。
大切なことは、あなたが気づいていることを伝えること。何か助けになることができないかと思っていることを伝えること。話を聞いてあげること。そして、必要に応じて医師やカウンセラー等の専門家につなぐことです。
決してあなたが相手のストレス原因を解決したり、相手のメンタルヘルス不調を治す必要はないということです。真面目で面倒見のいい人ほど、そう思ってしまっており、声がかけられないでいるようです。
武神健之氏
ストレスには良いも悪いもなく、単に感じ方の違いです。ストレスは自分の調子を崩す原因にもなりますが、成長の糧にもなります。ですから、上手に付き合うことが必要です。そのためには、ストレスがいっぱいいっぱいになった時の「こころ」「からだ」「行動」に出るストレス反応について、知識としてでも身につけていることが大切です。
そうすればさらに何らかの症状が現れたときに、自ら気づき早めに適切に対処することができます。そして、そのような状況から部下や同僚を救うきっかけにもなります。
GWが明けて7月の海の日の祝日まで、1年間のうち最も祝日のない期間が始まりました。ストレスを抱えたり、メンタルヘルス不調にならぬよう、自分と周囲の人をぜひケアしていきましょう。
<TEXT/武神健之>
【武神健之】
たけがみ けんじ◯医学博士、産業医、一般社団法人日本ストレスチェック協会代表理事。20以上のグローバル企業等で年間1000件、通算1万件以上の健康相談やストレス・メンタルヘルス相談を行い、働く人のココロとカラダの健康管理をサポートしている。著書に『
職場のストレスが消える コミュニケーションの教科書―上司のための「みる・きく・はなす」技術 』(きずな出版)、『
不安やストレスに悩まされない人が身につけている7つの習慣 』(産学社)、共著に『
産業医・労働安全衛生担当者のためのストレスチェック制度対策まるわかり』(中外医学社)などがある