かつて総合スーパーの雄と言われたイトーヨーカドーであったが、築年数が高い店舗を多く抱えていることもあり、2016年からは創業店の千住店閉店を含めた大規模な店舗整理が実施されるなど、業績不振が顕著なものとなっていた。
こうしたなか、2016年4月にはセブン&アイホールディングスの鈴木敏文会長兼最高経営責任者(CEO)が退任、同年12月には鈴木氏の次男も取締役を退任し、その後は創業家出身の伊藤順朗氏が常務に昇格するなど、経営陣の刷新とともに創業家への回帰も進んでいた。
3月にデニーズ1号店とともに43年の歴史に幕を下ろしたイトーヨーカドー上大岡店(横浜市港南区)。 かつての「繁盛店」も老朽店舗を中心に閉店が進む
伊藤常務は、2017年2月におこなわれた決算会見において、ハトマークについて「長年培ってきた看板であり、それを大事にしたい社員たちの気持ちは強い」としたうえで復活もありうると述べており、同月からは折り込みチラシの「ハトマーク」が大きくなるなどの変化も生まれていた。
総合スーパー全体の業態不振が叫ばれて久しい昨今、長年親しまれたマークを掲げることで、かつてのイメージを取り戻したいという思いのイトーヨーカドー。
もちろん、業態不振の打破には業態改革・店舗改革も必須であり、今後「新たな経営陣」と「昔ながらのハトマーク」の下で、新時代の総合スーパー像を描いていくことができるかどうかが大きな課題となる。
なお、いち早くマークが「鳩」に戻されたイトーヨーカドー大森店では、5月7日現在「2面がハト、2面がセブンアイ」という状況になっており、他店でもこうした対応になるのか注目される。
大森店ではハトマークが復活したのは2面のみ(5月7日)。 他店の対応も注目される
<取材・文・撮影/
都市商業研究所>
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