フランス大統領選、ごく普通の人々が「極右」を志向する理由

フランスの極右「国民戦線」のマリーヌ・ル・ペン。photo by Global Panorama via flickr(CC BY-SA 2.0)

 世界が注目するフランス大統領選挙は、いよいよ5月7日、中道系の前経済相マクロン氏と極右の「国民戦線」党首ルペン氏の間で決選投票が行われる。

 オランダでは3月16日に下院選が行われ、ルッテ首相率いる与党自由民主党と、連立を組む労働党がともに議席を大きく減らした。自由民主党は第一党を維持するものの、極右政党の自由党が政権奪取に向けて勢いを増してきている。ドイツでも2013年2月に結成された極右政党である新党AfD(ドイツのためのもう一つの選択)が、まだ議席を取るまでには至っていないが急激に支持を広げてきている。

20世紀に勝利したのは「民主主義」ではなく「資本主義」だった

 彼ら極右に共通した主張は、「反ユーロ」「反難民」「反イスラム」である。

 このような極右勢力が、ナチス・ドイツで学習したはずのヨーロッパでまたしても台頭してきたのはどうしてだろうか。

 それは、20世紀の終わりに向けて顕在化し、21世紀に入って顕著になってきた諸問題(すなわち、戦後体制の転換、経済のグローバル化、ヨーロッパ統合、格差そして移民・難民問題)によるものだろう。

 20世紀には3つのイデオロギー、「ファシズム」「共産主義」「民主主義」が競った。そして「民主主義は勝利した」とブレジンスキーは書いている。しかし、真に勝利したのは民主主義ではなく資本主義だった。

 露骨な不平等をつくりだす市場資本主義、グローバリゼーション、そして過度の金融依存。 経済学者ジョセフ・E・スティグリッツは、“世界に分断と対立(The Great Divide)をばら撒く経済の罠”すなわち“エセ資本主義”によって民主主義は重大な危機に瀕しているという。

 資本と労働のグローバル化によって、国家は一定の政策領域の排他的支配を放棄せざるを得なくなり、国民国家の自立性の偉大な時代は過去のものになってしまった。EUもグローバル化という時代の要請に適応していき、資本主義に歩み寄ったわけである。

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