政府も霞ヶ関も知らなかった?大阪・手形急増のミステリー
2017.05.02
実は、その理由ははっきりしている。大阪での手形交換高が急増しているのだ。2015年の28兆6848億円から、2016年には205兆7941億円へ――その増加率は7.1倍にもなる。
大阪手形交換所の月次の手形交換高を見て行くと、2014年1月から2016年2月まで2兆~4兆円程度で推移しているにもかかわらず、2016年3月には14兆円へと急増。その後は毎月16兆~26兆円の間で推移していることがわかる。だが、「なぜ増えたのか」が、いまだに謎なのだ。信用調査会社の幹部が話す。
「理由を突きとめようと、関西の金融機関や企業関係者などに尋ねまくったのに、どこの企業が手形の振り出しを急増させたのかがわからないのです。一部で、『自治体が振り出した手形では?』という声も上がったので、関西圏の大きな自治体すべてに問い合わせたが、『手形の振り出しが増えたということはない』という回答。もしや、反社会的勢力が一部の企業に圧力をかけて手形を大量に振り出させ、現金化しているのでは?とも疑ったのですが、そんな情報も入ってこない。もうお手上げです……」
大阪手形交換所の月次データを見ると、交換された手形の枚数には特段、変化がない。つまりは、以前よりも額面金額の高い手形が振り出されるようになったことを示している。それも、増加額を見ると、“数億円”単位の手形が繰り返し振り出された可能性さえある。最も高い交換高を記録した2016年6月の平均額面は3400万円にも達するからだ。
あまりにも不可解な手形の急増ぶりに、一部では「交換所の記載ミス」を指摘する声もあがっているという。
「手形が急増したのは昨年の3月。異動を目前に控えて、入力業務を引き継いだ人が“一桁”間違えて入力するようになったのでは……と考えています」(信用調査会社幹部)
そんな冗談のような話はありえるのか?大阪手形交換所を運営する大阪銀行協会に問い合わせてみると、苦笑しながら「それはありえませんね」という回答。入力担当者の異動もなかったという。果たして、前代未聞の手形急増劇の背後にあるものとは……?今後も調査していきたい。
取材・文/池垣 完(本誌) 1
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