これからもメキシコのアボカドへに需要は伸びて行く傾向にある。32ある州で、28州がアボカドの栽培を行っているが、ミチョアカン、ハリスコ、ナヤリット、モレロスの4つの州とメキシコ自治区が主要生産地となっている。
麻薬カルテルが蔓延るメキシコでは生産業者はこれからもカルテルの妨害にどのような対応をして輸出を計って行くのか事態は楽観視できない。カルテルの恐喝に従えば、彼らへ払うお金と更に税金も払わねばならないという二重苦に追い込まれることになる。カルテルから見れば、麻薬の販売以外に新しい一つのカネ稼ぎに繋がるビジネスになるのである。
また、自然を保護するという意味ではアボカドの栽培には多量の水が必要で、それ以外の作物の栽培や自然保護などで水不足の問題が深刻になって行く可能性がある。
メキシコの「アボカド」産業は、トランプの保護貿易だけでない問題も抱えているのだ。
<文/白石和幸 photo by
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しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。