3月末の閣僚会議では、さらに現実的な方策が討議されたもようだ
先月の3月31日、首相官邸において「ギャンブル等依存症対策推進関係閣僚会議」が開かれた。
12月26日の第1回会議に続く今回の会議では、ギャンブル等依存症対策に関する論点の整理が行われ、公営ギャンブル、パチンコ等の現状の対策状況と今後の課題について話し合われた。既報ではあるが、同日厚生労働省からは、ギャンブル依存症の疑いのある人が、成人の2.7%(推計値278万人)と、前回の調査から大幅に「下方修正」されており、政府は、今国会での「ギャンブル等依存症対策法案」の成立、秋に予定される臨時国会での「IR実施法案」の可決に向け一気に加速したい構えだ。
本稿では、各省庁が考えるギャンブル等依存症対策の今後の課題について、注目すべき点についてみていきたい。
ほぼ無策だった公営ギャンブルにも一定の対策が講じられる
「カジノ推進法案」に対する議論のなかで、ギャンブル等依存症の問題が議論となり、メディア等では、パチンコがその槍玉にあがったが、実のところ、競馬や競輪、競艇等の公営ギャンブルではほとんど依存症対策が講じられていなかったことも注目された。
しかしギャンブル等依存症対策の必要性が急速に高まるなか、今回の関係閣僚会議では今後の課題として対策が講じられている。
そもそも公営ギャンブルには依存症等の相談窓口もなく、窓口の明示や周知もなかった。また、未成年者の投票権購入に対する規制や確認が十分ではないのも問題だった。しかし今後は、公営ギャンブルの競技ごとに相談窓口を設置しその周知も図っていく。
公営ギャンブルの一番の問題は、インターネットによる投票権の購入が可能なことである。
しかしアクセス制限や購入額制限の仕組みがなく問題視された。このインターネットによる投票権の販売は、いわゆる「ノミ屋」(公営競技などを利用して私設の投票所を開設している者や集団、多くは反社会的勢力と繋がっているとされている)の排除には一役を買ったものの、今後のギャンブル依存症対策においては「鬼門」でもある。
当面は、購入時の注意喚起やアクセス制限、購入額制限(自己申告)等の対策を打つが、未成年者や依存症者の排除のために、マイナンバー等を利用した事前登録も議論されている。
現時点では、マイナンバーの普及率等の問題で早期の実現は困難であると思われるが、もし個人が識別できる方法での事前登録制が導入されれば、税金等(配当金は臨時収入となる。ちなみに投票権購入費用は「経費」にはならない)の新たな問題も浮上しそうだ。