下がる支持率、企業も“離反”!? トランプを無視して米国企業がメキシコ投資を再開

メキシコだけが米雇用喪失の理由ではない

 トランプ大統領が米国での雇用の喪失を防ごうとしても、これから15年先の<2025年には米国の雇用の38%はロボットに職場を奪われる>という研究も発表されている。それは<900万人の雇用喪失に匹敵する>としている。そして、<それは10%の生産コストの削減になる>というのである。(参照「El Plural」)  米国とメキシコの北米自由貿易協定(NAFTA)の交渉について、メキシコ政府は今年6月ー7月に交渉を開始したいと望んでいるが、米国政府は12月頃から開始したいという意向だという。米国政府の交渉内容がまだまとまっていないというのが交渉の遅れの要因だと想像されている。  そもそも、この協定を問題視すること自体に無理があるのである。これはトランプ大統領の「米国から雇用が喪失したのはメキシコのせいで、その根底にあるのはNAFTAだ」という彼の偏見的な私見から生まれたものである。その偏見に正当性を持たせる理由づけに交渉担当となるグループが苦心しているのであろう。  交渉の成り行き次第では、メキシコ経済は勿論大きな損害を受けることになるが、と同時に米国でもテキサス州など少なくとも5つの州はメキシコとの貿易が後退すると深刻な経済不振に陥るというのも米国政府は承知しているのである。 <文/白石和幸> しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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