そんななか、トランプの意向を無視してメキシコに工場移転を進めているのは次のような企業だ。(参照:「
SIN EMBARGO」、「
El Pulso Laboral」)
●トライアンフ・グループ
ワシントン州スポーケン市にあり、ボーイング社にファイバー部品を納めている。既に従業員を削減した。生産工場をメキシコのサカテカス州とバハ・カリフォルニア州に移転する。
●TEコネクティビティー
ニュージャージ州ペンソーケン市にある圧力センサのメーカーで、工場を閉鎖する予定。メキシコのヘルモシーリョ州に工場を建設する。
●イリノイ・トゥール・ワークス
イリノイ州モンゾン市に所在。自動車部品メーカーで、工場の一部を4月に閉鎖してメキシコのフアレス州フアレス市に移転する。
●レックスノード・コーポレション
インディアナポリスの350名の従業員を抱える産業用チェーンコンベアなどのメーカーで、メキシコに生産工場を建設予定。
●キャタピラー
イリノイ州ジョリエット市に所在の建設機械メーカー。メキシコのモンテレイ州に工場を移転する。
●ニューコア
ノースカロライナ州シャーロット市に所在。会社の内部構造を改革し、メキシコで日本のJFEエンジニアリングと共同で自動車用の鋼板を生産予定。
なぜここまでメキシコ移転に企業が走るのか? それは歴然としたメリットがあるからだ。
アウディやテスラにサーキットボードを納品しているミシガン州のファーストロニックLLC は、2014年のメキシコへの移転で<「毎年、売上が30%伸びている」>と同社のジョン・サマット社長がブルームバーグの取材に答えたそうだ。更に、同社長は<「米国で生産していたら、大半の受注契約を手にする機会を失っていたであろう」>とも述べたという。
この企業の移転を手助けしたテクマ・グループのアラン・ラッセル社長は安い給与を求めて企業がヨーロッパではチェコ、そしてアジアではベトナムで生産をするが、<米国にとって、それはメキシコである>と指摘している。更に同社長は<「これは、米国で雇用喪失させるのではなく、企業を救うためなのである」>と述べている。(参照:「
El Pulso Laboral」)
また、フォーブス電子紙が今月<米国、日本、中国から430社が今年メキシコへの投資を予定している>として記事にしている。その内の<300社はメキシコにとって新しい企業だ>としている。即ち、米国から今後もメキシコへの企業の進出は続くということなのである。(参照:「
Forbes」)