無修正動画サイト「カリビアンコム」関係者が逮捕。海外運営なのになぜ摘発できたのか?

本件逮捕は問題あるの?

 これまではサイト運営者だとしても、海外サーバの運用など国外業務の担当者が摘発されるケースは皆無だった。しかし、上記判例の理屈を前提に、今回、警視庁は刑法175条が成立するとして逮捕に踏み切った。これまで見てきたように、「日本国内の顧客による無修正動画のダウンロード行為」が同時に、「サイト運営者による送信行為」(「頒布」行為)になるのなら、その犯罪行為は日本国内で行われたことになり、たとえ被疑者が外国籍であっても、日本の法律が適用されるからである。  そこには事実上野放し状態の違法動画の取り締まり強化という意図が透けて見える。その先には、アニメなど著作権の発生するエンターテイメント作品の違法動画アップロード規制の強化も視野に入ってくるかもしれない。

カリビアンコムはどうなるの?

 本件に先立ち、カリビアンコムを巡っては、AV制作会社や芸能プロダクションの経営者、AV女優などが逮捕されている。警察がカリビアンコム潰しに本腰を入れていることは間違いないだろう。捜査で運営の仕組みが明らかになれば、さらに逮捕者が増える可能性もある。  今後、本件を含め、カリビアンコムを巡る裁判が次々と提起される可能性は高い。事実上、最大手の無修正動画サイトであったカリビアンコムは果たして運営を継続できるのか。同サイトが大打撃を受ける中で他の無修正動画サイトがどう対応するかも興味が尽きない。  AV出演強要問題の事件化なども考えあわせると、AVという産業に対する当局の介入は強化される流れになっていくのだろう。  記事執筆現在において、カリビアンコムのサイトは平常運転中である。今後サイトがどのように変わっていくのか、ウォッチを続けたい。  なお、日本において、無修正動画サイトで動画を閲覧・ダウンロードしても罪にならないので顧客の皆さんは安心していただきたい。 <高崎俊/弁護士>
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