2015年6月、外国人投資家によるサウジアラビア株式市場での現物株投資が解禁になった。株式投資は、一定の条件を満たした「適格外国金融機関」(Qualified Foreign Financial Institutions(QFI))を通じて行われる。
当初、「適格外国金融機関」になれる条件は、
①銀行、証券会社、ファンド運用会社、保険会社である
②保有資産が187.5億リアル(50億米ドル)以上である
③上記の金融機関としての業務経験が5年以上である
の3つであった。
また、外国人投資家には投資上限も下記のように定められていた。その条件とは
①各「適格外国金融機関」につき1銘柄当たり発行済み株式の5%まで
②全外国人投資家で1銘柄当たり発行済み株式の49%まで
③全銘柄の時価総額の10%まで
となっていた。(参照
:アムンディ・ジャパン)
しかし、2016年9月、外国人投資家に対する規制緩和が進められ、「適格外国金融機関」になれる条件の上記“保有資産が187.5億リアル(50億米ドル)以上”が、“保有資産が37億5000万リヤル(約1010億円)以上”に引き下げられたほか、海外の個人投資家が保有できるサウジ企業の株式も“各「適格外国金融機関」につき1銘柄当たり発行済み株式の5%まで”が、“各「適格外国金融機関」につき1銘柄当たり発行済み株式の10%まで”へ上限が大きくなり、多少条件が緩和されている。(参照:
ブルームバーグ)
東証に上場する外国企業は1991年の127社をピークに、減少傾向が続いた。現在、東証に上場している外国企業は、ワイ・ティー・エル、バンク・オブ・アメリカ、AIG、アフラック、新華ホールディングス、メディシノバの6社だけである。(参照:
JPX)
サウジアラビアの国営石油企業「サウジアラムコ」は、2018年に、新規株式公開(IPO)を計画している。世界最大規模のIPOとなることが予想されている。
日本とサウジ両政府は、東証とアラムコによる上場研究グループ設置検討協議を支援することで合意している。
東証でのアラムコのIPOが成功すれば、東証に上場している外国企業の減少傾向が底打ちし、東証のプレゼンスが高まる可能性が期待される。
<文/丹羽唯一朗 photo by
Dick Thomas Johnson via flickr(CC BY 2.0)>