注目のメディア「ワセダクロニクル」編集長が語る、調査報道にこだわる理由

井野祐真
「ワセダクロニクル」という調査報道メディアを知っているだろうか? 今年2月のサイトオープンと同時に、創刊特集「シリーズ 買われた記事」を公開。共同通信と電通による医薬品を巡るステマというマスコミ業界のタブーを暴いた同特集は大きな反響を呼んだ。

「ワセダクロニクル」は取材費を原則、すべて寄付金で賄っている。クラウドファンディングサイト「MotionGallery(モーションギャラリー)」には3月16日時点で、当初の目標額である350万円を大きく上回る、430万円もの寄付金が寄せられている。これからの報道メディアについて、編集長の渡辺周氏に聞いた。

――早速ですが、創刊特集の「買われた記事」では共同通信と電通のステマ問題を取り上げました。これはどのような経緯で決まったのでしょうか?

渡辺:「ワセダクロニクル」では、フリーのジャーナリストや元新聞記者、ドキュメンタリー作家が複数の取材テーマを並行して1年間、追いかけてきました。そのなかで、最初の特集というのは、我々はしがらみのないメディアで、大手メディアが書けないニュースでも、公共性があればしっかり取り上げますよ、というある種のメッセージでした。

――取材費は寄付金のみで、しかも他メディアが扱わないニュースを取り上げます。不安はなかったのでしょうか?

渡辺:もちろん、他のメディアが取り上げやすいテーマを取材して、一緒に盛り上げていく方向もあります。今話題の森友学園とかまさにそうで、連日どのメディアもそのニュースを扱っています。しかし、この「買われた記事」については、我々しかやらない、やれないという自負があった。四方を敵に囲まれ、孤立する恐れもありましたが、「ワセダクロニクル」をスタートする時点で、そこは腹を括ってますから。躊躇することはありませんでした。

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「会社や組織の枠で思うように活動できなかった」

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