東日本大震災から6年――変化を遂げるイオンとセブンアイの「商業復興」
日本の小売業界を牽引する2大グループである「イオングループ」と「セブンアンドアイホールディングス」(以下、セブンアイ)。
2011年3月11日に発生した東日本大震災の被災地に複数の店舗を出店していた両社は多くの店舗が甚大な被害を受け「被災企業」となった一方で、震災発生直後の災害対応や早期の店舗復旧をおこなうことで「災害時における小売業の対応のお手本」を示すこととなった。
なかでも最大の津波被災地の1つとなった宮城県石巻市では、住民約2,500人の避難所となった「イオン石巻ショッピングセンター」(現:イオンモール石巻)、停電のなか1日も休まず営業を継続した「イトーヨーカドー石巻あけぼの店」の両店が、被災後の迅速な対応により地域住民から大きな信頼を寄せられる存在となった。
また、イオングループ傘下の大手スーパー「ダイエー」も、1995年1月の阪神淡路大震災の経験を生かすかたちで、当時東北唯一の店舗だった「ダイエー仙台店」(現:イオン仙台店、仙台市青葉区)を震災発生2日後に営業再開させており、素早い対応で称賛された。
もちろん、当時の被災地では、地場大手スーパーの「マイヤ」(本社:岩手県大船渡市)などでも複数の店舗に住民が避難、支援物資の配給が行われるなど、地場企業も「地域に根付く大型店」としての底力を見せつけたものの、マイヤは被災後に経営規模の縮小(総合スーパーを廃業して食品スーパー専業化)を迫られたほか、被災当時青森県と岩手県に店舗を展開していた百貨店「中三」(本社:青森市)は2011年に民事再生法を申請し、店舗網を縮小して経営再建をおこなうなど苦戦を強いられている。
一方で、大手流通グループはその大きな資本力を武器に、被災地の復旧活動に呼応するように早期の店舗復旧を実現させ、さらに被災地のニーズに応じたかたちの新規出店をおこなうことで、地域全体の復興にも大きく貢献することとなった。
しかし、復興が進展するにつれて、イオンとセブンアイ両社の姿勢には大きな変化が生まれており、それぞれの戦略の共通点、そして相違点も明らかになってきた。
震災発生から6年が経過した東北の被災地。そこで大手流通2グループが示した「商業復興」の軌跡を追った。
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