1万人を面談した産業医が教える、職場のストレスが消えるコミュニケーション術
2017.03.21
働き方改革の議論の中で、残業時間を繁忙期でも月100時間とする方向で、話が進んでいます。原則100時間なのか、100時間程度なのか、100時間未満なのかなどの攻防が繰り広げられている中、過労死遺族の方が「1か月100時間、2か月平均80時間残業を上限とする案に、過労死遺族の1人として強く反対します」とのコメントを出しました。
働く時間を制限することだけでは、一昨年に電通で起こったような悲劇がなくなりはしないというのが、これまで1万人と面談してきた産業医としての私の意見です。
私はこれまで産業医として働いてきたなかで、たくさんの組織の人間関係を見てきました。そして、多くの人が職場にストレスを抱えていると、断言できます。
20年前にはなかった「パワハラ」「ブラック企業」という言葉もすっかり定着し、職場のストレスで自殺してしまったなどという悲しい事件も数多く起きています。
人間関係がうまくいっているところ、うまくいっていないところ。さらに、優れたリーダーシップのもとチームとしてまとまっている会社もあれば、リーダーシップがなくまとまっていない会社もありました。同じ会社内においても、メンタルヘルス不調者やハラスメント被害者が「出る部門」と「出ない部門」がありました。
ある部署でメンタルヘルス不調者が年に1人出たとしても、それは普通のことで、「組織の問題である」とは言えません。しかし、もし1つの部署で年に2人以上出たとすると、そういう部署には共通点があると私は産業医として思っています。その共通点とはたいてい以下の2つのうちのどちらかです。
①部門の業務が組織全体の仕事のフローのなかで、なんらかのひずみになっている、もしくは大きな負荷がかかっているという点
②その部署にメンタルヘルスに理解のない、あるいはコミュニケーションに難のある上長がいるという点
これらがメンタルヘルス不調者を複数出してしまう部署の共通点だと、私は感じています。
この議論を聞いているともっと大切なことが、働き方改革の議論では忘れられているような気がしてなりません。それはパワハラやストレスをなくすという職場のコミュニケーションの見直しです。
多くの職場がストレスを抱えている
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