1万人を面談した産業医が教える、職場のストレスが消えるコミュニケーション術
2017.03.21
一方、どんなに忙しくても、メンタルヘルス不調者やハラスメント被害者を出さない部署もありました。そのような部署の上長に共通するのが、相手をケアする「ちょっといいですか?」の言葉です。
この「ちょっといいですか?」にはパターンがあります。「気になる」「聞かれた」「期待したい」の3つです。
1.気になる部下に対する「ちょっといいですか?」
これは例えば自分の部下が頑張りすぎていて心配なとき、調子が悪そうだと感じるとき、メンタルヘルス不調なのではと気になるときに「ちょっといい?」と声かけをすることです。
調子が悪そうな部下だけなく、優秀なあまり仕事が集中してしまっている部下に対し、「今は大丈夫そうだけれどこの先、身体を壊さないか心配なので声をかけてみよう」ということもあるかもしれません。
優秀な人ほど、たくさんの仕事が回ってきて、それをこなしているうちに燃え尽きてしまう……。このようなパターンを心配する上司から部下への「ちょっといいですか」です。
2.変化を期待したい「ちょっといいですか?」
2つ目は上司がリーダーとして部下や若手社員に対し、声をかけるときなどが挙げられます。相手に行動の変化を求めたいときにかける「ちょっといいですか?」です。
3.部下に聞かれた「ちょっといいですか?」
そして3つ目は逆に元気のない部下に上司の側が「ちょっといいですか?」と声をかけられるケースなどです。
部下が深刻な顔をして、あるいは診断書などを持って「ちょっといいですか?」と相談してきたらドキッとするでしょうが、そういうときも焦らずに堂々と対応できる上長の部署は、メンタル不調による休職者は少ないと思います。
以上のような「ちょっといいですか?」が聞ける(聞かれる)部署は、メンタル不調者やハラスメント被害者が続出するということがありません。なぜから、そこから上手なコミュニケーションにつながるからです。
「ちょっといいですか?」と声をかけたら、元気のない相手を元気いっぱいにしなくてはいけない、悩んでいるなら気の利いたアドバイスをしなくてはいけないなど、深刻に考える必要はありません。そう考えると、なかなか声をかけにくくなってしまいます。
それよりも、「ちょっといいですか?(私はあなたの変化に気づいていますよ。気にかけていますよ)」という意志を伝えるだけでいいのです。
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