バフェット氏による「株主への手紙」、2017年版を読む

丹羽唯一朗

低コストのインデックスファンドを推奨

 今年のバフェット氏による「株主への手紙」の中で、筆者が一番印象深いのは、5つのヘッジファンドのファンド・オブ・ファンズ(注:複数のファンドへ投資するファンド)とS&P500インデックスファンドを比較して、ヘッジファンドが多額の運用報酬を得るにもかかわらず、コストが安く市場全体の値動きと連動するS&P500インデックスファンドよりも2008年以降の運用成績が劣っていると指摘している““The Bet”(or how your money finds its way to Wall Street)”(“賭け”―どのようにあなたのお金がウォール街に流れるか) の箇所である。  2008年以降の9年間で、バフェット氏が選んだS&P500インデックスファンドは85.4%上昇したのに対して、5つのヘッジファンドの平均は+22%に留まった。  ここで、筆者が注意すべきと考える点は、ヘッジファンドのファンド・オブ・ファンズはアクティブファンドでもあるが、アクティブファンドとS&P500インデックスファンドとの比較が論点では無いということ。すなわち、ここでは、アクティブファンドによる銘柄選定や売買のタイミングの拙さが市場平均のS&P500インデックスファンドに劣る理由であるとは言っていない。以下の通り、ファンド・オブ・ファンズであるために、単一のファンドマネジャーによる銘柄選定や売買のタイミングの巧い・下手は打ち消される。  “The five he selected had invested their money in more than 100 hedge funds, which meant that the overall performance of the funds-of-funds would not be distorted by the good or poor results of a single manager.”(彼が選んだ5つのファンド・オブ・ファンズは、100を超えるヘッジファンドに資金を投資した。これは、ファンド・オブ・ファンドの全体的なパフォーマンスが、単一のマネージャの良い結果と悪い結果によって歪まないことを意味した。)  論点は、ヘッジファンドのファンド・オブ・ファンズとS&P500インデックスファンドとの比較である。ヘッジファンドのファンド・オブ・ファンズがS&P500インデックスファンドに劣る理由は、ヘッジファンドのファンド自体及びファンドの構成ファンドとなるファンドに売買手数料、成功報酬がかかってくるからである。バフェット氏はヘッジファンドの高額報酬を批判しているのだ。 “My calculation, admittedly very rough, is that the search by the elite for superior investment advice has caused it, in aggregate, to waste more than $100 billion over the past decade.”(非常にラフな私の計算では、優れた投資アドバイスのためのエリートによる調査により、過去10年間総額で1000億ドル以上を無駄にしている)とバフェット氏は主張する。  バフェット氏は、“My regular recommendation has been a low-cost S&P 500 index fund.”(私の推奨はいつでも、低コストのS&P500インデックスファンドであった)としている。  バフェット氏は、上記の通り、S&P500インデックスファンドを推奨しているが、バークシャー・ハザウェイの方がS&P500よりもパフォーマンスがはるかに上回ってきたことは驚異的である。  S&P500インデックスファンドやバークシャー・ハザウェイ株が、投資対象として検討に値しよう。 <文/丹羽唯一朗 illustrated by DonkeyHotey via flickr(CC BY 2.0)>
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