ファーストレディの立場をビジネスチャンスにすり替え…米大統領夫人としての自覚に乏しいメラニア氏

 トランプ大統領の妻、メラニア夫人が6日、英紙デイリー・メールの発行元を提訴しました。  デイリー・メールが以前、メラニア夫人がかつて所属していたモデル事務所が性的サービスを提供しており、メラニア夫人がこれに関わっていたとする「噂」を報道したからです。  しかし、訴訟した側であるメラニア夫人が逆に批判されるという結果に発展しています。  今回は、メラニア夫人のこの訴訟を3つの点から考察してみたいと思います。 1.「ファーストレディー」である以上に、「モデル」としての姿が見える今回の訴訟 2.「噂」を掲載したのは、ウィキペディアも引用を禁止するデイリー・メールという大衆紙 3.メラニア夫人弁護士が問題となる箇所を訂正 1.ファーストレディーである以上に「モデル」としての姿が見える今回の訴訟  今回の訴訟で、メラニア夫人はデイリー・メールの記事により、「世界でもっとも撮影される女性の一人」という「一生に一度」の期間に、「商業ブランドを立ち上げる」機会を失ったとしています。  そして、これが莫大な損失だったとしており、1億5000万ドルの賠償を求めています。  確かにモデルという職業は、大変「イメージ」が重要です。その意味で、「性的サービス」のイメージを植え付けられたことに対して、「モデル」としてのメラニア夫人が遺憾を示すのは理解できます。  しかし、メラニア夫人は「モデル」である以上に、「ファーストレディー」なわけです。ファーストレディーは、大統領代理として公式行事に参加したりする立場の人間。政治的にも非常に重要な役割を担っており、もちろん「公人」であります。  今回の問題は、「公人」であるメラニア夫人が、「ファーストレディーをビジネス機会」として結び付けてしまっているように見える点です。メラニア夫人は、「ファーストレディー」である以上に、「モデル」としての意識が先行しているようにも思えます。

発信源は低質メディアのデイリー・メール

2.「噂」を掲載したのは、ウィキペディアも引用を禁止するデイリー・メールという大衆紙  性的サービス提供の噂を掲載したのは、デーリー・メールという大衆紙です。このデイリー・メールという大衆紙は読者が多く、確かに興味深い記事も多い。ただ、ある点で問題視されることがあります。それが「信憑性」に欠ける記事があるという点。  例を挙げると、多くの方がご存知のオンライン百科事典「ウィキペディア」の話をすると分かりやすいと思います。  実は今月、ウィキペディアはデイリー・メールの記事を情報源として引用することを禁止すると発表しています。デイリー・メールは「基本的に信憑性に欠ける」という理由づけをしています。  もちろん、信憑性に欠けるから、名誉棄損に関わる記事を掲載してもいいなんてことにはなりません。精神的苦痛を受けたことを考えると、メラニア夫人が訴訟したという事実自体には何の問題もありません。  ただ、今回の場合、「ファーストレディー」としての利益追求が問題視されているのです。
次のページ
批判を受けて訴状を訂正した可能性
1
2
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会