政府の定義するギャンブル依存症対策には精神医学的根拠が乏しい

安達夕

「ギャンブル依存症」の新たな定義の確立が喫緊の課題

 そして、新たに加わったのが砂糖依存。  実は20世紀初頭の消費量は少なく、現代社会の発展とともに確立された現代病である。アメリカでは糖尿病患者数が砂糖の消費量の増大と比例して数十倍に増えたと言う報告もある。(ナショナルジオグラフィック誌、2013)  このように物質依存は、人の健康を蝕み生物学的な廃人を作り、最悪の場合死にまで追いやる、世にも恐ろしい病気なのである。  さて、ギャンブル依存症である。これは「過程への依存」の代表の一つで最大の特徴は行動の障害をもたらすことであることは以前に述べた。  物質の依存との最大の違いは、「身体の健康を害さない」こと。つまり、内臓なり、脳なり、血管なり、どこも悪くならない、身体としては健康体なのである。食欲もある、睡眠もとれる。ギャンブルにハマったそれだけでは、精神疾患によくある被害妄想・幻覚・幻聴があるわけではない。  ただ、ギャンブルへの強い衝動を抑えきれず、行動の障害を生む「だけ」なのである。それに対して、医療的な病名の依存「症」という診断名を果たしてつけられるのであろうか? 実際今のところ前出の通り、「いわゆるギャンブル依存症」なのである。  他にも行動の障害を生む「過程への依存」は多々ある。例えば「盗癖」や「買い物依存」など。  エスカレートすれば(犯罪の場合はエスカレートしなくとも)、ギャンブル同様、生活を壊してしまう依存だ。  ギャンブル依存症対策法案では、多分これらとは区分してあくまで「カジノ法案」的に「ギャンブル依存症」を特別に定義すると思われるが、そこに精神医学的な根拠がないのは明らか。  そのような物を国民が納得するような、医療の保護の対象の疾患として定義できるのであろうか? 法案を作成する人たちの、真摯な努力と知恵の結集こそが必須だ。 <文/安達 夕>
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