750円で58分以内に配達――まずは大田区大森から
「マジカ・プレミアム・ナウ」の「58分以内配達サービス」を使うための条件は、商品を税抜2000円以上購入し、配達先が店舗からおおよそ約3キロ以内の指定地区へ配達する場合。配達料は1件につき税込750円となる。
また、税抜2000円以上購入した場合、店舗からおおよそ約5キロ以内・2時間毎配達(指定した2時間内での配達)であれば、なんと配達料は無料となる。注文はスマートフォンの「マジカアプリ」を用い、専用サイトからおこなう。年会費などは必要ないが、ドン・キホーテグループのポイントカード「マジカ」の会員(カード発行料100円)であることが条件となる。
「マジカ・プレミアム・ナウ」のサービスは、まずは2月22日より「MEGAドン・キホーテ大森山王店」(旧・ダイシン百貨店)からおおよそ3キロ(2時間指定便はおおよそ5キロ)の指定エリアで開始され、今後取り扱い店舗を順次広げていく予定だという。
「マジカ・プレミアム・ナウ」サービス開始1号店となるMEGAドン・キホーテ大森山王店。 JR大森駅から池上通りを歩いて10分ほどの東海道本線沿いに立地する
ここで「旧・ダイシン百貨店」と聞いて驚いた人もいるであろう。ダイシン百貨店といえば、大田区大森の老舗総合スーパーで、「半径500メートルのシェア100パーセント」を掲げて健康支援、商品宅配、巡回バス運行など地域に密着したきめ細やかなサービスを展開。地元の高齢者を中心に大きな人気を集め、メディアに登場する機会も度々あった。
しかし、近年は近隣に競合スーパーが複数出店。とくに、ダイシンの隣接地と向かいにイオンのミニスーパー「まいばすけっと」が2店舗相次いで出店した影響は大きかったと思われる。
「半径500メートルのシェア100パーセント」の座が揺らぎ始めたダイシン百貨店は、2014年よりドン・キホーテの傘下となり、2016年5月に閉店。同年6月からは「MEGAドン・キホーテ大森山王店」として営業している。なお、ダイシン百貨店に隣接していた「まいばすけっと」のうち1店舗は、この「ドンキ化」後に閉店しており、流通競争の熾烈さを実感させられる。
MEGAドン・キホーテ大森山王店(中央)の向かいに出店するイオン・まいばすけっと。 なお、まいばすけっとは右側のマンションの下層階にも出店していたが先日閉店したばかり
先述したとおり、ダイシン百貨店は高齢者の利用客が多く、これまでもダイシン独自の商品宅配サービスが人気を集めていた。また、売場面積も10,539㎡(テナント含む)と23区内のドン・キホーテでは最大で、取り扱い品目も多いことから、「マジカ・プレミアム・ナウ」の実施一号店として選ばれたのであろう。当初の取り扱い品目は2500点に留まるというが、今後は順次拡大していくという。
こうした高速配達サービスは東京都心などにおいて同業他社でも開始されているが、ドン・キホーテは全国に店舗網を持っているため、同業他社を大きく引き離す規模へと成長する可能性が高い。