役立たずの「アクションプラン」はなぜできてしまうのか?

優先順位はドタ勘

 他方の「掛声倒れ型」は、「アクションプランを策定しろ」「優先順位を付けろ」と指示ばかりが飛び、メンバーはそれを実行しているが、アクションを書き出して、それぞれの感覚で優先順位を付けているに過ぎないケースだ。「練習過多型」の精密なアクションプラン策定シートでも、実は優先順位の付け方は、メンバーそれぞれのドタ勘で付けられているケースが少なくない。

「メンバーの能力のなさ」という諦観

 精密なアクションプラン策定シートが役に立たないのは、それが精密過ぎるからだ。普通のビジネスパーソンが、日常業務の中で苦もなく記入して、実行する際の参考にできないようであれば、時間と労力をかけて作成する意味がない。精密なアクションプラン策定シートを記入させることは、やめた方がよい。精密なアクションプランなど策定しなければ、そもそも「練習過多型」に陥ることはない。  普通のビジネスパーソンは、押しつけられると、抵抗感が生じ、パフォーマンスが下がるものだ。だとしたら、「アクションプランを策定しろ」「優先順位を付けろ」など指示を飛ばさない方がよい。指示など飛ばさなければ、そもそも「掛声倒れ」になることもない。  このように申し上げると、「精密なアクションプランどおりに実行できなかったり、優先順位付けが間違っていたりするのは、メンバーの能力がないからだ」という意味の反論に接する。このように決めつけられて、さらに厳しい指導が施され、メンバーの嫌気は極大化するか、諦観に陥るかという状況になる。  こうした事態になって初めて、他の方法がないかということにマネジメントは思いが至るのだが、簡単でかつ効果が上がるアクションプラン策定の方法を探し始めて、「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」に行き着くようだ。実は、「練習過多型」や「掛声倒れ型」にも陥らず、アクションプランの実効性を高めるとても簡単な方法がある。その方法を次回ご紹介させていただきます。 ※「分解スキル・反復演習のスキル」は、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月。ビジネス書ランキング:2016年12月丸善名古屋本店1位、紀伊國屋書店大手町ビル店1位、丸善丸の内本店3位、2017年1月八重洲ブックセンター4位)で、セルフトレーニングできます。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第27回】 <文/山口博 photo via Startup Stock Photos CC0 License> 【山口 博(やまぐち・ひろし)】株式会社リブ・コンサルティング 組織開発コンサルティング事業部長。さまざまな企業の人材育成・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。
(やまぐち・ひろし) モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社新書)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい)、『99%の人が気づいていないビジネス力アップの基本100』(講談社+α新書)、『ビジネススキル急上昇日めくりドリル』(扶桑社)がある
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