環球時報編集長の論評も削除!? 中国政府系メディアは金正男暗殺事件についてほとんど報じず

沈黙を守る政府系メディア

家系図などで詳細に伝える時代丹東スマートフォン版

 日本同様に中国も地方紙や電子メディアは大きく伝えている。例えば、『時代丹東』電子版のような地方紙では、金一族の家系図や金正男氏の経歴、2001年5月の日本への密入国事件、その後の発言や行動などをかなり詳細に伝えている。大手検索エンジン「百度」でもトピックニュースとなり関連ニュースが掲載されている。  が、政府系である『新華社』や『環球時報』は、15日もトップニュースどころか国際面でも伝えておらず沈黙しており、政府系とその他メディアで温度差がある。  中国政府は、15日午後の外務省の定例記者会見で、「事件については我々も報道を見て初めて知った。マレーシア政府の調査進展を見守る。調査結果が出るまでコメントは差し控える」と答えた。  中国政府が事件について何ら言及しないことからも、政府系メディアには事件について報じないように通達を出したと考えられる。  このように考えられるのは、こんな一件があったからだ。  15日、環球時報微博版の編集長論評が事件に触れ、「マレーシア政府が金正男氏が死が暗殺だと正式に認めるようなことがあれば、世界中が激しく非難するだろう。どのような政治闘争があっても暗殺という野蛮で過去のやり方は歴史の博物館へ収めるべきものだ」と事件を非難したのだが、その後、同論評が削除されたのである。このことからも、中国政府も神経を尖らせていることを感じさせる。
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一般中国人は無関心
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