3人の親の遺伝子を持つ受精卵の研究が行われる。「ミトコンドリア置換法」がもたらす未来とは

父母の核DNAを第三者に置き換える

 そこで考案されたのが、母親の異常ミトコンドリアを、第三者の正常なミトコンドリアで置き換える方法である。これを、ミトコンドリア置換法とよぶ。  ミトコンドリア置換法では、母親の卵子と父親の精子が受精した後に、核DNAを取り出し、第三者の女性の卵子に移植する。こうすることで、父母に由来する核DNAと、第三者の女性に由来する正常ミトコンドリアをもつ子どもができる。  つまり、このようにして生まれた子どもは、両親の核DNAと第三者女性に由来するミトコンドリアのDNAの、合わせて3人に由来する遺伝情報を含むことになる。「3人の親をもつ」と言われる所以だ。  このような受精卵操作は、子どものDNAセットの組み合わせを人為的に変えるため、遺伝子改変を施していることになる。ミトコンドリア置換法はまだ安全面で懸念される部分もあるものの、先述のように臨床治療が行われ始めている。ミトコンドリア置換法の実施がスタートしたことにより、より積極的な遺伝子改変技術を用いた臨床治療も近々始まるかもしれない。
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遺伝子改変術「クリスパー・キャス9システム」
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