大手企業の下請イジメ是正なるか?「下請Gメン」誕生も効果は限定的!?

出典:「下請かけこみ寺」ホームページより

――確かに大企業が優越的な地位を利用するケースはよく聞きます 多田:また、最近、公正取引委員会の勧告を受けるケースで多いのが、いったん正規の金額を支払った後で、「販促費」や「協力費」といったわけのわからない名目で下請にカネをバックさせ、実質は代金の減額を要求しているケースです。  それ以外にも発注の条件として親企業の子会社から指定の機械をリースすることを強要された、下請企業の技術を勝手に利用して類似商品を作られたなどがあります(:参照)。 ――「下請Gメン」とはどのような組織になると思われますか? 多田:まだ報道段階の情報しかありませんので、具体的なことはわかりませんが、NHKの報道によれば「およそ50人の調査員が全国各地の中小企業1000社以上に派遣され、大手企業から一方的に支払い代金を減額されたり、製造コストを引き下げられたりすることがないか聞き取り調査する」組織のようです。  この施策に目新しさがあるとすれば、「イジメられる」中小企業の側の話を聞くということでしょう。というのも、これまでの下請取引適正化を図る施策では、「イジメる」大企業の側への働きかけが主だったからです。昨年の中小企業白書でも、「平成27年度上半期に533社の大企業に対して、(中略)立入検査を実施した」という記述があります。  この背景には、やはりアベノミクスがあると思います。デフレ脱却が至上命題の安倍政権にとって、サラリーマンの賃金上昇は重要な要素になります。大企業に対しては、経済団体や春闘への“口先介入”でやる気を示した安倍さんですが、日本企業の99%を占める中小企業に対する働きかけは、なかなか目に見える形で示すことができません。そこで「下請Gメン」のような組織を作って、「政府はちゃんとみなさんに寄り添っていますよ」という姿勢をアピールする狙いがあると考えます。 ――「下請Gメン」は本当に下請けイジメを是正できるのでしょうか? 多田:無理です。  下請問題の歴史は古く、現在、下請取引適正化で主に活用される下請法(下請代金支払遅延等防止法)が制定されたのは昭和31年のことです。つまり、60年前には下請イジメの問題がすでに顕在化していたということです。  それがいまだに「下請Gメン」などと言っているのですから、この問題がいかに根深いかを物語っています。60年かけても克服できない問題を、今さら50人ぽっちの調査員が1000社程度の中小企業に話を聞いたくらいで改善できるとは思えません。  今回の目的は、下請イジメの是正というよりは、とにかくまずは実態調査してみよう、ということでしょう。前述したように、これまでの下請問題に対する施策は、大企業に対して「あんまり下請をイジメるなよ」と呼びかけるものが主でした。これまで取ってきた施策の効果測定を、反対の立場に立ってやってみよう、ということだと思います。
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下請イジメ是正に本当に必要なこととは?
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