「その日は投げることができず、試合も敗退しました。それでも7月に手術をし、リハビリ後は年内に投球を再開できるという目処が立っていた。大学からも声があったんですが、迷った末に怪我をしても根気強く誘っていただいたカープへの入団を決めました。高校の先輩にあたる黒田博樹さん、西山秀二さんがいたのも決め手でした」
国木は投手生命が危ぶまれる怪我に襲われながらも、そのポテンシャルを買われ、2002年、大竹寛(現・巨人)らと同期となるドラフトで、6位指名を受けプロの世界に足を踏み入れた。迎えたキャンプ初日、国木は並み居るプロ選手達と自身の実力に大きな開きを感じたという。
「左手の状態は、キャッチボールもまともにできず、キャンプ中もひたすら下半身のトレーニングとリハビリメニューを淡々とこなすだけ。そんな状態で追い打ちをかけたのは、投手陣の先輩達が投げる、これまで見たことがないようなボールのキレでした。『あー、これはエラい世界に来てしまった』と思いましたね」