信頼取り戻した「仮想通貨」の今

進むブロックチェーン研究

 ビットコインは中央銀行のような統制・管理の機関を置かず、個々のコンピュータのネットワーク上に分散したかたちで、これまでより著しく低コストで決済や発行などのシステムを効率的に構築できる。これを実現しているのが、ブロックチェーンという技術なのだ。 「ビットコインとは、ブロックチェーンという技術の実装例のひとつに過ぎません。金融機関のシステムのコスト削減だけではなく、いろいろな分野に転用できる技術で、各国で研究が進んでいるところです。近年、フィンテック(IT技術を駆使した新たな金融サービス)のポテンシャルがおおいに注目されていますが、金融機関は現実のお金を仮想通貨に置き換えることで効率化を目指しているのです」  三菱東京UFJ銀行など、国内メガバンクはブロックチェーンの研究に乗り出しているという。また、世界では金融機関や企業だけでなく、政府までがこの先端技術を利用したサービスの実証実験を行っている。  スウェーデンでは3月より、土地登記の実証実験をスタートさせる予定であり、小国ではあるがエストニアでは、すでに投票や医療などの多くの分野がオンラインで対応できるようになっている。こうした試みでもっとも危惧されるのは情報の改竄だが、これを防止しているのが安全性が極めて高いブロックチェーン技術なのだ。  一方、かつての「怪しい」イメージを払拭しつつあるビットコインは、今後、日本でさらに普及していくのだろうか。 「利用できる実店舗が急増していますが、日本円やSuicaなどの電子マネーが広く浸透しているのに、わざわざビットマネーを使う人はそれほど多くない。ただ、店側にすれば宣伝になるので悪くはないといったところでしょうか。もっぱら投資や投機の対象としてビットコインを捉えている日本人のほうが、遥かに多そうですね」  ビットマネー相場は、一時より下げたとはいえ好況のようだ。とはいえ、1日に20%も価格が動くこともあるだけに、西田氏が指摘するように、「FXよりも当たればデカい」と一発勝負を狙う投資家が大量に参入しているとも漏れ伝わる。くれぐれも投資には注意が必要だろう。 <取材・文/ハーバービジネスオンライン取材班>
1
2
3
暗号が通貨になる「ビットコイン」のからくり

「通貨の未来」を徹底的に考える

バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会