金属質の小惑星「プシューケー」を探査する無人探査機「サイキ」の想像図 Image Credit: SSL/Peter Rubin/NASA
米国航空宇宙局(NASA)は1月5日(日本時間)、2023年に小惑星に向けて無人探査機「サイキ」を打ち上げると発表した。
サイキが目指すのは、鉄やニッケルといった金属でできていると考えられている小惑星「プシューケー」。探査が成功すれば、地球のような惑星の中心にある核(コア)を直接探るのとほぼ同じ成果が得られ、惑星が、そして太陽系がどのようにしてできたのかを知ることができるかもしれない。
さらに将来、プシューケーのような小惑星に含まれる金属を、宇宙で暮らす人類が資源として利用できる可能性も広がると期待されている。
今回は、金属質の小惑星とはどういう天体なのか、サイキはどのような探査をするのか、そして小惑星を資源として利用できる可能性と、実際にそんな未来を見据えて動き出している民間企業などについて取り上げたい。
小惑星とは文字どおり「小さな惑星」で、太陽系が誕生したころに、地球や火星といった大きな惑星になりきれなかったものや、あるいはいったん惑星サイズまで成長しそうだったものの、衝突などで破壊されて砕けた欠片が、現在まで残っているものと考えられている。たとえるなら惑星の原材料であり、また原材料のまま現代まで残る「太陽系の化石」でもある。
その最初の一つは1801年に発見され、以来望遠鏡の進化とともに、現在までに約60万個もの小惑星が見つかっている。
小惑星の多くは、火星と木星との間にある小惑星帯、あるいはメイン・ベルトと呼ばれる部分に分布している。なぜここに小惑星帯があるのかははっきりしていないが、実は惑星になりそうだったものの、木星の強力な重力の影響などで乱され、惑星になれず小惑星のまま残っているからでは、という説がある。
小惑星には他にも、火星や木星などの公転軌道に乗っているもの、太陽系最遠の海王星の軌道にあるもの、さらに地球に接近する軌道に乗っているものもある。2010年に地球に帰還した日本の小惑星探査機「はやぶさ」が探査した「イトカワ」や、現在「はやぶさ2」が目指している「リュウグウ」といった小惑星は、この地球に接近する小惑星の中の一つである。