では、どんな銘柄が12月に上がりやすいのか？　中原氏が過去のデータを解析し、12月に強い銘柄をピックアップした。 「単純に12月に上がる銘柄を調べました。’00年から’15年まで、12月最初の日の始値と1月最初の日の始値を比較したところ、勝率が8割以上あり、期待値がもっとも高いトップ3は、藤井産業、西尾レントオール、日本精機でした。どれも12月の1か月間で10％以上もの上昇が期待できます。また、業種にも傾向がありました。全34業種のなかで特に12月の勝率が高かったのが『電気・ガス』（71.97％）と『陸運業』（67.22％）でした。この2業種のなかで勝率が8割以上あり期待値の高い銘柄が遠州トラック、ニッコンHD、北海道電力です」 　また、12月に仕込んで中期的な上昇を狙いたいのが、2月と3月の優待株だ。 「一般的に株主優待が魅力的な銘柄は2～3か月前から上昇し始めるため、12月は2月と3月の優待株を仕込む絶好のチャンスとなります。そのなかでも12月の勝率が8割以上で期待値が高いのが山陽百貨店、アオキスーパー、マックスバリュ東北の2月優待株と、タカチホ、ゼンショーHD、桑山の3月優待株です」（中原氏） 　毎年12月は株が上がりやすい。しかも今年はトランプ期待などもあり、例年以上に強くなりそうだ。12月の株高に乗るのは今からでも遅くはない。 【上昇率】 藤井産業（JQ・9906） 取引回数：16 勝率：87.50％ 平均利益：14.72％／平均損失：2.39％ 期待値：12.58％ 栃木県を地盤とした電設資材、電気機器などの販売を行う商社。太陽光発電事業も手がける 西尾レントオール（東1・9699） 取引回数：16 勝率：81.25％ 平均利益：14.07％／平均損失：2.42％ 期待値：10.98％ 建設機械やイベント用品などのレンタルや商品を開発。トンネルや建築工事向けの道路機械が強い 日本精機（東2・7287） 取引回数：16 勝率：81.25％ 平均利益：13.98％／平均損失：4.50％ 期待値：10.52％ 車やバイク、建機、船舶などの計器類や各種センサなどで、二輪用計器は33％で世界トップシェア 【業種】 遠州トラック（JQ・9057） 取引回数：16 勝率：81.25％ 平均利益：9.28％／平均損失：2.74％ 期待値：7.02％ 静岡県を基盤とする総合物流企業。引っ越し、貸倉庫など生活関連、中国からの一貫輸送も手がける ニッコンHD（JQ・7889） 取引回数：16 勝率：87.50％ 平均利益：7.78％／平均損失：2.84％ 期待値：6.45％ ホンダ車を中心に、貨物車などの輸送が首位で、完成車輸送は業界首位。住宅設備の物流も展開 北海道電力（東1・9509） 取引回数：16 勝率：81.25％ 平均利益：6.33％／平均損失：2.27％ 期待値：4.71％ 地域柄、冬に需要のピークが訪れる。原発停止により高コストに。泊原発1～3号機の再稼働がカギ 【優待株】 山陽百貨店（JQ・8257） 取引回数：16 勝率：81.25％ 平均利益：10.10％／平均損失：2.18％ 期待値：7.80％ 兵庫県姫路市にある百貨店。2月優待株。1万4000円ほどで購入でき、5％の割引券がもらえる アオキスーパー（JQ・9977） 取引回数：16 勝率：87.50％ 平均利益：8.36％／平均損失：0.87％ 期待値：7.21％ 愛知県地盤の食品スーパー。配当利回り2％超、1000株以上で5000円相当の株主優待券。2月優待 マックスバリュ東北（東2・2655） 取引回数：16 勝率：87.50％ 平均利益：7.11％／平均損失：1.53％ 期待値：6.03％ 東北で食品スーパーを展開。12万円ほどで購入でき、5000円の優待券がもらえる。2月優待 タカチホ（東1・9072） 取引回数：16 勝率：81.25％ 平均利益：15.68％／平均損失：12.11％ 期待値：10.47％ 国内旅行土産品の卸売・小売等。スーパー銭湯「湯ったり苑」も展開。入浴券5枚がもらえる。3月優待 ゼンショーHD（東1・7550） 取引回数：16 勝率：87.50％ 平均利益：11.03％／平均損失：6.40％ 期待値：8.85％ 牛丼首位「すき家」を展開。20万円程度で購入でき、500円分の優待券2枚もらえる。3月優待 桑山（JQ・8225） 取引回数：16 勝率：87.50％ 平均利益：9.37％／平均損失：1.72％ 期待値：7.99％ ジュエリー総合メーカー。配当利回り3％超。100株以上で自社商品を割引価格で買える。3月優待 【中原良太氏】 「株式予報」代表。投資情報サイト「株式予報」を運営。2015年Yahoo!ファイナンス株価予想達人「ベストパフォーマー賞」を受賞。過去16年分の株価データを徹底分析したシステムトレード戦略が人気 【大神田貴文氏】 株式ジャーナリスト。国内大手証券会社などを経て現職に。マーケット情報に精通しているだけでなく、幅広い人脈を生かし、個別企業の裏情報も握る事情通。金融政策、経済政策にも強い 取材・文／12月株高取材班