モンサントやデュポンに負けるな! 海外でも堅調な「サカタのタネ」。日本の種苗企業に期待

種苗の市場規模と日本の輸出

 世界の種苗の市場規模は、約370億ドル(約4兆円)と推定されている。また、我が国の種苗産業の市場規模を示すデータとして、一般的に用いられるものはないものの、各種の試算が試みられており、おおむね2000億円から3000億円程度と推計するものが多いとされる。(参照:一般社団法人 日本種苗協会)  種苗業界では、モンサント、デュポン(以上、米国)、シンジェンタ(スイス)が世界のトップ3である。しかし日本企業も健闘しており、「タキイ種苗」「サカタのタネ」ともにシェア1.1%で9、10位にランクインしている(※2007年の数値)。特に、野菜種子において両者とも上位を占めているのだ。(参照:農林水産先端技術振興センター「我が国における野菜種苗の安定供給に向けて」) 「サカタのタネ」が、“当種苗業界は、国内需要は頭打ちの状況が続いておりますが、海外におきましては、成長を持続している新興国を中心に、野菜種子、花種子の需要は拡大を続けております。”と記しているように、海外需要も拡大しているのだ。(参照:サカタのタネ 四半期報告書)  財務省が公表している「貿易統計」を基に、我が国の品目別の農林水産物貿易状況を取りまとめたものを見ても、同様に輸出品として重要な位置を占めていることがわかる。2015年の我が国の農林水産物輸出入額の上位20品目について、金額上位20か国が掲載されているが、種苗に相当する「播種用の種等」が輸出額の9位と、上位にランキングしているのだ。(参照:農林水産省 品目別貿易実績)  日本の「播種用の種等」の輸出は増加傾向にあり、2015年は151億円である。輸出相手国は、1位香港、2位中国(ともに約31億円)、3位韓国(14億円)、4位デンマーク(10億円)、5位米国(9億円)となっている。6位以下では、総じて、アジア各国への輸出が多い。
次のページ
海外市場で伸びる「サカタのタネ」
1
2
3
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会