バンタンが日本初の「スケートボード」の高校を開校するワケとは?

――スケートボードは学校で教えられるか? 細井:確かにスケートボードを学校で教えるというのは、なかなか思いつかないですよね。ですが、もともと日本はスポーツと高校の結びつきが強い。例えば野球なら甲子園があり、スポーツ全般でも高校総体がある。  そもそも専門学校では、専門教育を受けたにもかかわらず、卒業後にそれが役立たなかったというケースが多い。それは実社会で求められる能力と、学校で教わることにすごくギャップが生じているから。ただ、バンタンではデザイン教育含め、講師陣すべてが現役プロ講師であることにこだわりを持っています。  今回もプロスケーターとして活躍していて、さらにファッションブランドのデザイナーをしていたり、自らデザインしたデッキのブランドを経営していたりとクリエイティブな仕事に結びつけている人を講師として招いています。 ――具体的にはどのような授業を行うのか? 細井:もちろん実際にスケートボードの練習を行います。が、それ以外にも映像やグラフィックデザイン、ファッションなどの授業も行う予定です。イベントをやるときのフライヤーやポスターなどグラフィックの作成や英語教育も行います。  この学校からプロスケーターや、オリンピック選手を出していきたいですが、我々の狙いはそれだけではない。生徒にも将来、いろいろな道があることに気づいてほしい。スケートボードから広がっていくカルチャー全般を武器に海外でもクリエイティブな活躍ができる人材を育てたいですね。 ――スケートボードの可能性や市場をどう見ているか? 細井:正直、まだわからない(笑)。いろいろな人に聞きましたが、アメリカでのスケーター人口が1400万人くらいある。国内人口ははっきりと言えないが、スケートパークの数は昔と比べて大幅に増加しており、スポットを合わせると全国に357箇所あると聞いている。  若い世代のスケーター人口が増えている感触もある。今、子供たちがスケートボードを一生懸命練習しているが、このまま教育環境が整備されないと学歴社会のなかで夢を諦めてしまうのではないかと危惧している。オリンピック種目にも選ばれたし、スケートボードを通じて好きなことを仕事にしていく一つの方法を提示していきたいです。 【写真提供】バンタンデザイン研究所 <取材・文/HBO取材班 撮影/林紘輝(本誌)>
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