世界の宇宙機関の多くは、人工衛星打ち上げロケットと観測ロケットの両方を保有しており、目的によって使い分けている。日本も、H-IIAとH-IIB、イプシロンといった人工衛星を打ち上げるロケットを運用する一方で、さらに「S-310」と「S-520」、そして「SS-520」の、3種類の観測ロケットを保有している。
S-310とS-520は、JAXA宇宙科学研究所(旧東京大学航空宇宙研究所)が開発し、IHIエアロスペース(旧日産自動車航空宇宙事業部)が製造している。S-310のほうが小型で、1975年の誕生以来、これまでに51機が打ち上げられている。
S-520はS-310より大きな観測ロケットで、より重い観測装置を、より高い高度へ飛ばすことができ、1980年以来これまでに29機が打ち上げられている。SS-520は、S-520の上に小さなロケットを追加で載せて2段式にし、さらに高い高度へ飛べるようにしたロケットで、1998年と2000年に2機が打ち上げられ、両方とも成功している。
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S-310ロケット Image Credit: JAXA
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S-520ロケット Image Credit: JAXA
これら観測ロケットの実験、試験によって、高層大気や宇宙空間で起きている、謎の多いさまざまな現象の解明の手がかりになったり、将来的に人工衛星や宇宙探査機で使うための新しい技術につながったりなど、多くの成果が残されている。