メルケルの決意。トランプ大統領誕生を前に、来年の選挙で4期目に挑むと表明

 来年1月から、世界のリーダー国であるアメリカで、トランプという型破りで独裁色をも帯びた大統領が誕生するのを前に、ヨーロッパではドイツを始め、欧州連合においてもメルケル首相以外にトランプ大統領と渡り合える人物はいないと判断されたようである。  ただ、来年9月の総選挙までまだ長い期間があり、それまでに政治状況が変化する可能性はある。  現在の各政党への支持率は<キリスト教民主同盟(33%)、社会民主党(22%),ドイツの為の選択肢(13%)、緑の党(12%)、左翼党(9%)、自由党(6%)>となっている。(参照『El Confidencial』)  この数字から判断して、「ドイツの為の選択肢(AfD)」が初めて連邦議会に議員を送ることになることが予想される。また、自由党も議席を回復するだろう。自由党はキリスト教民主同盟の連立政権に長年加わっていた政党である。例年だとキリスト教民主同盟は40%以上の支持を得るが、「ドイツの為の選択肢(AfD)」に一部支持が移っているようだ。一方で、第三次メルケル内閣の一翼を担う社会民主党は低迷を続けている、これはヨーロッパ全域で同じような傾向である。その代りに左派系のポピュリズム政党が社会民主の票を奪っているのである。  左右双方のポピュリズム政党が台頭しつつある状況の中で、再び求心力を強めてきたメルケルの威光が来年の総選挙まで続くのか。予断を許さない状況なのは間違いない。 <文/白石和幸  photo by European People’s Party via flickr(CC BY 2.0) > しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営する生活。バレンシアには領事館がないため、緊急時などはバルセロナの日本総領事館の代理業務もこなす。
しらいしかずゆき●スペイン在住の貿易コンサルタント。1973年にスペイン・バレンシアに留学以来、長くスペインで会社経営から現在は貿易コンサルタントに転身
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