信頼していた資産管理担当者の裏切り、そしてガン。一世を風靡した芸術家を襲った不運

沢木サニー祐二

自らの絵を解説するケン・ドーン氏。「ダイビングしたリーフ。その瞬間に感じたこと。海の中で見渡すだろう、感じるだろう、フィーリング。それを記憶して、ここに写すんだ」

 前回、44億円にものぼる巨額の資産を失うという資産管理トラブルに巻き込まれていたことを明らかにしたケン・ドーン氏。  信じていた資金管理担当者らに裏切られた上に、結局失われた44億円について何の補償も受けられなかったケン・ドーン氏を更なる不幸が襲いかかった。  それは、和解した2011年7月の後半、月曜日のことだった。 「ゴルフのあとで、妻のジュディと娘カミラと一緒に夕食をしていたとき電話がかかってきた。何日か前に検査をした医者からだった。『前立腺がんが見つかりました。木曜日に来てください』、電話の向こうからそんな言葉が飛び込んできた。ショックで呆然とした。私はイスに座ってしばらく動かなかった。頭がぐるぐると回転したよ。怖くはなかった。父親も前立腺がんをわずらったけど、亡くなったのはそれが原因ではないし。ジュディとカミラが様子を見にきてくれた。そのとき、やりたいことが分かったんだ。治すこと。解決すること。何があっても、だ」
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本当にやりたかったこと
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