10・31日銀のサプライズ緩和に見る「異常性」とは?

日経平均

一日で755円の値上がりを見せた10月31日の日経平均。先物市場では、さらに上昇する場面も

 日銀のサプライズ追加緩和が賛否両論呼んでいる。10月31日13時40分頃に公表されるや否や、日経平均は爆騰。15時の終値で前日比755円の上昇を見せたのだ。  その追加緩和の詳細は日銀HPの「『量的・質的金融緩和』の拡大」(http://www.boj.or.jp/announcements/release_2014/k141031a.pdf)を参照してほしいが、柱は2つ。 (1)長期国債の買い入れを保有残高が年間約80兆円に相当するペースで増えるようにすること と、 (2)上場投資信託(ETF)や不動産投資信託(J-REIT)の買い取り額を3倍に増やすこと だ。  特に(1)に関しては、これまでよりも30兆円(!)も上積みされている。当然、インパクト大! 即座にマーケットは反応したわけだが、市場関係者は一様に首をひねる。 「朝方に、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の国内株の運用比率を現状の12%から25%に大幅に増やすことを盛り込んだ運用改革案が認可される……という報道が流れて、31日のマーケットは寄り付きから好調だったんです。前日のNYも値上がりして、10月最後の相場は高値で引けることが見えていたのに、なぜこのタイミングで追加緩和を行う必要があったのか……」(経済アナリストの新光一郎氏)  ご存じのとおり、GPIFは運用資産が127兆円を超える世界最大の機関投資家だ。以前から予想されていたことだが、国内株の運用比率を倍に引き上げられれば、当然、株価にはプラス材料。そのため、朝方から日経平均は200円以上、上昇していたのだ。  そもそも10月1日に1ドル=110円をつけ、急速に円安が進行したことを受けて、「これ以上の追加緩和は不要」と見る声が高まっていた。それは追加緩和を決めた日銀政策委員会の“反対票”を見ても明らかだ。マーケットの裏側を知り尽くした闇株新聞氏が話す。 「今回の追加緩和は賛成5人に対して反対者が4人。こんな僅差で、追加緩和を決定した事例は記憶にありません。賛成票を投じたメンバーを見ると、元財務官僚の黒田東彦総裁に、岩田規久男(上智大学名誉教授)・中曽宏(日銀理事)の両副総裁、宮尾龍蔵氏(神戸大学経済経営研究所所長)、白井さゆり氏(慶應義塾大学総合政策学部教授)と、マーケットのことは何も知らない大学の先生ばかり。一方で、反対票を投じたのは、佐藤健裕氏(モルガン・スタンレーMUFG証券)、木内登英氏(野村證券)を筆頭に、マーケットに精通したメンバーです。今、追加緩和を行うことがいかに異常なことかわかっているメンバーは皆反対した格好。こんなムチャクチャな追加緩和はありませんよ」  その異常さを物語るものがもう1つある。短期金利の推移だ。 「10月23日に行われた3か月ものの短期国債の入札では、史上初めて平均利回りがマイナス0.0037%というマイナス利回りとなりました。発行額5兆円の入札だったので、財務省は発行するだけで5000万円以上の“利益”が出てしまった計算になります。実は、日銀は9月以降、3か月と6か月ものの短期国債を市場から買い入れる際に、わざとマイナス金利を提示して金利を誘導してきました。“官制円安”による株高を演出しようと、ずっと“隠れ追加緩和”を行ってきたのです」(闇株新聞氏)  マイナス金利の異常さは、説明するまでもないだろう。だが、31日21時時点でも6か月の短期国債の利回りはマイナス0.004%という水準。3か月ものの利回りは夕刻に半値まで落ち込むなど、軒並み国債利回りは今回の追加緩和を受けて低下したのだ。  では、なぜそんな異常事態を引き起こしてまで、追加緩和を行ったのか? ⇒【後編】「日銀サプライズ緩和が知らせる7-9月期GDPと増税の行方」(http://hbol.jp/11729)へと続く <取材・文/池垣完(本誌)>
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