焼酎「いいちこ」と地下鉄路線図の意外な関係

最近は焼酎業界内外の強力なライバルを抱える「いいちこ」

 そんなある意味、昨今のビジネスにおいてある種のファンタジーのような展開を見せてきた同社ですが、ここ数年は状況が変わってきています。まず1つ目は、芋焼酎『黒霧島』を中心とした『霧島』シリーズを擁する霧島酒造の躍進です。2004年には売上170億円で、焼酎業界の売上6位だった同社ですが、かつての三和酒類のようにシェアを伸ばし続けて、遂に2012年には売上500億円を超え、三和酒類は首位から陥落、その後も霧島酒造の後塵を拝しています。  そして、2つ目はビール会社の戦略転換です。ビール各社はこの数年、ワインや焼酎、日本酒などビール以外の酒類も合わせて販売する総合酒類戦略に舵を切っており、蒸留酒においても特にサントリーなどは売上1兆円を掲げ、国際的なM&Aも展開しています。ここら辺の大手の動きが今後、更に販売にも影響を及ぼしてくる可能性は十分にあると言えます。  これらの焼酎業界内外の環境変化により、最高時、売上600億円、利益100億円だった業績もここのところは今期の決算を見ても減収減益基調になっているようです。しかし、依然として財務状況としては堅調ですし『いいちこ』のプレミアム版にあたる『日田全麹』や『空山独酌』といった新製品開発にも積極的に取り組んでいます。容易なことではないとは思いますが、三和酒類が再び『いいちこ』のような起爆力のある商品を生み出し、今の時代でもどんなファンタジスタ振りを見せられるのか、期待したいですね。 決算数字の留意事項 基本的に、当期純利益はその期の最終的な損益を、利益剰余金はその期までの累積黒字額or赤字額を示しています。ただし、当期純利益だけでは広告や設備等への投資状況や突発的な損益発生等の個別状況までは把握できないことがあります。また、利益剰余金に関しても、資本金に組み入れることも可能なので、それが少ないorマイナス=良くない状況、とはならないケースもありますので、企業の経営状況の判断基準の一つとしてご利用下さい。 【平野健児(ひらのけんじ)】 1980年京都生まれ、神戸大学文学部日本史科卒。新卒でWeb広告営業を経験後、Webを中心とした新規事業の立ち上げ請負業務で独立。WebサイトM&Aの『SiteStock』や無料家計簿アプリ『ReceReco』他、多数の新規事業の立ち上げ、運営に携わる。現在は株式会社Plainworksを創業、全国の企業情報(全上場企業3600社、非上場企業25000社以上の業績情報含む)を無料&会員登録不要で提供する、ビジネスマンや就活生向けのカジュアルな企業情報ダッシュボードアプリ『NOKIZAL(ノキザル)』を立ち上げ、運営中。 <写真/ume-y
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