「相手の反論」をどうしたら収束できる? 鍵は「結語」にあり!

 ここまで紹介すると、必ずといっていいほど挙がってくる意見が、「結語転換は効果があるかもしれないが、相手の反論が、『○○は賛成だが、□□は反対だ』といいう『賛成―反対』文脈で語られる場合だけですよね」というものだ。  そのとおりだ。100%反対だという方には、通用しない方法だ。むしろ、100%反対だということが明白な人には、その後のエネルギーを割かずに、一部でも賛同している人にアプローチしていくことをお勧めしている。  しかし、単なる反論だけを繰り出してきた人に対して、表現にこそ出ていないが、少しは賛成の意向がありそうだと思うならば、賛成の部分を引き出せばよい。単なる反論を受けた後に、賛成の部分があるかどうか聞き出す質問を挟み込み、「○○は賛成だが、□□は反対だ」と言わせるのだ。その後、結語転換へ移行していけばよい。  結語転換は、フレーズの順番を変えるという、とても単純なスキルを発揮するだけで、相手の反論を収束して誘導していけるほどのパワフルな効果を発揮する方法だ。単純なスキルであるだけに、試しやすいし、反復演習することができる。まさに、身に付けるとたいへん効果が高いスキルをパーツ分解して、反復演習する形に構成した、「分解スキル・反復演習型能力開発プログラム」の典型的なスキルなのだ。 ※「結語転換」は、山口博著『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社)のドリル17で、セルフトレーニングできます。 【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第20回】 <文/山口博> ※社名や個人名は全て仮名です。本稿は、個人の見解であり、特定の企業や団体、政党の見解ではありません。 【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。国内外金融機関、IT企業、製造業企業でトレーニング部長、人材開発部長、人事部長を経て、外資系コンサルティング会社ディレクター。分解スキル・反復演習型能力開発プログラムの普及に努める。横浜国立大学大学院非常勤講師(2013年)、日経ビジネスセミナー講師(2016年)。日本ナレッジマネジメント学会会員。日経ビジネスオンライン「エグゼクティブのための10分間トレーニング」、KINZAI Financial Plan「クライアントを引き付けるナビゲーションスキルトレーニング」、ダイヤモンドオンライン「トンデモ人事部が会社を壊す」連載中。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)がある。慶應義塾大学法学部卒業、サンパウロ大学法学部留学。長野県上田市出身
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