中国の有人宇宙船「神舟十一号」の打ち上げ Image Credit: The State Council of the People's Republic of China
中華人民共和国(中国)は9月15日、宇宙ステーションの試験機「天宮二号」の打ち上げに成功した。そして1か月後の10月17日には、景海鵬宇宙飛行士と陳冬宇宙飛行士の2人を乗せた有人宇宙船「神舟十一号」の打ち上げにも成功。2日後に神舟十一号は天宮二号にドッキングし、2人の宇宙飛行士は天宮二号の中に入り、約1か月間にわたる宇宙滞在を開始した。
中国は1992年から有人宇宙開発に乗り出し、慎重に時間をかけて開発と運用を続けてきた。そして四半世紀が経とうとする今、大型宇宙ステーションの建造という新たな段階へ向けて動き始めた。
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神舟宇宙船 Image Credit: CAST
中国の有人宇宙飛行に向けた動きは、1992年から始まった。実際にはそれ以前から構想はあったものの、技術的な問題などから長らく実現には結びつかず、具体的な計画として動き出したのがこの年だった。
中国はロシアから「ソユーズ」宇宙船の技術を導入し、「神舟」宇宙船の開発を進めた。よく「神舟はソユーズのパクリ」などと言われることもあるが、形こそ似ているものの、実際には全体的に大きく改良が施されており、ほとんど別物の機体になっている。実際に”改良”、つまり中国が手を加えた結果、ソユーズよりも良くなったかどうかは意見が分かれる部分もあるが、いずれにしても中国が自分たちの手で、ソユーズの技術を習得し、なおかつ改良しようとした結果であることは間違いないだろう。
神舟は1999年に無人で初の試験飛行を行い、その後も動物を積むことはあったものの、4号機まで無人で試験を繰り返した。そして2003年、楊利偉宇宙飛行士が搭乗した「神舟五号」が打ち上げられ、地球を約14周(約1日に相当)した後、無事に地球への帰還に成功。2005年には「神舟六号」で2人の飛行士が宇宙へ行き、2008年には3人が搭乗した「神舟七号」が打ち上げられ、そのうち2人が船外活動(宇宙遊泳)を実施している。
この流れを見てもわかるように、実際に人を乗せて打ち上げるまでには、慎重に時間をかけて試験を繰り返している。またその後も、少しずつ難しい事柄に挑戦していき、またその間隔も2~3年置きと、慎重に進めている。たとえば米国は、初の有人宇宙飛行(1962年)からわずか7年後の1969年に月への有人飛行に成功している。単純に比較するのは難しいが、中国がいかに慎重に計画を進めているかの一例にはなろう。