「イクメン」の呪縛から逃れたい父親は何をすべきか?

 もはや、子育て中の世帯でも共働きというのはデフォルトのライフスタイルになってきている。そのなかで、一人歩きしているのが「イクメン」という言葉だろう。  共働きであるが故、家事も育児もフィフティフィフティ。卒乳するまでは子どもと接しようとチャレンジしても、母親には勝てるハズもない。しかも、母親が残業ともなれば、寝かしつけまで頑張ってはみたものの、結局は「ママがいい~!」と泣かれてしまい、心が折れそうになる。  そして、イクメンという言葉に呪縛されてしまい、プレッシャーを感じるようになってしまう父親は決して少なくないようだ。  また、母親からすれば、「ちょっと家事をしたり育児したくらいでイクメンともてはやされるのは納得いかない!」と、この言葉の存在自体に不公平感も漂っているようだ。
MOTEOYA SUMMIT TOKYO 2014

「同イベントでは、SDA代表高橋氏とセンジュ代表曽原氏のほか、SDA理事のキャスター小森谷徹氏や経済キャスター谷本有香氏も参加して 『モテ親流ファミリーデートのつくり方』のトークセッションが行われ、第二部では魔法使いKOJIによる子どもにモテる「モテジナ」のワークショップも 開催された」

 そんななか、イクメンに対する新機軸とでも言うべきコンセプトを打ち出したイベントが10月26日、表参道駅すぐ近くの青山246ビルにて開催された。その名も「MOTEOYA SUMMIT TOKYO 2014」。  この「モテ親」とはいったい、どういったコンセプトなのか?  主催者側のリリースによると、「モテ親」の「モテ」とは、家族である子どもとパートナーにモテるという意味らしい。子どもと一緒に楽しみ、家族も楽しませ、子どもから好かれるカッコいい親(父親も母親も)をモテ親と定義して、今後もイベントを通して発信していくのだという。  このイベントを主催したのは、子育てに積極的に参加することを提案するパパ集団「スーパーダディー協会(SDA)」と、パパ&ママのための子どもとのお出かけ情報アプリ「comolib(コモリブ)」の提供を開始したベンチャー企業の株式会社センジュだ。  センジュ代表の曽原健太郎氏は「目指しているのは、決して子どもやパートナーに媚びるといったことではありません。男女関係なく、自分の人生を自立的に生きながら子育てもちゃんとやるということ。今回提供するアプリを作る上でヒアリングしていると、特に育児にも家事にも熱心な親からは自分を犠牲にしてまで子どもに注力しているといったようなネガティブな意見が多く聞かれた」という。  また、「イクメンという言葉は政府が考えた言葉であって、違和感がある。『男も育児をすべき』といった義務感を感じてしまうが、それよりもっと自発的に育児を楽しむにはどうすべきかと考えたのが、モテ親。イクメンという言葉の呪縛であるとか、子育てのために自分を犠牲にしていると思っている母親たちがもっと自発的に子育てを楽しむといった、ちょっとだけゆるめのスタンスで子育てに取り組もうという姿勢を打ち出していけたらいいな、と思っています」とも。  SDA代表の高橋一晃氏は「仕事もキッチリやる父親であっても、育児は自分がやりたいことの一部ではあるわけです。でも、イクメンを目指しちゃうと、“やっていること”そのものが育児になってしまって、ホントはやりたくないことも嫌々やってる感じがしてしまう」と、違和感を訴える。  また、曽原氏はこう言う。 「男が子育てをするのが本当の意味で当たり前になれば、イクメンっていうワードってもともと必要ないんですよね。ということは、もっと別の切り口で育児ということを考えていったほうが面白いんじゃないかと思います」  イクメンという言葉に縛られない、新たな育児コンセプトとでも言うべき「モテ親」。どこまで拡がるのか、今後に注目か!? <取材・文/國尾一樹>
バナー 日本を壊した安倍政権
新着記事

ハーバービジネスオンライン編集部からのお知らせ

政治・経済

コロナ禍でむしろ沁みる「全員悪人」の祭典。映画『ジェントルメン』の魅力

カルチャー・スポーツ

頻発する「検索汚染」とキーワードによる検索の限界

社会

ロンドン再封鎖16週目。最終回・英国社会は「新たな段階」に。<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

国際

仮想通貨は“仮想”な存在なのか? 拡大する現実世界への影響

政治・経済

漫画『進撃の巨人』で政治のエッセンスを。 良質なエンターテイメントは「政治離れ」の処方箋

カルチャー・スポーツ

上司の「応援」なんて部下には響かない!? 今すぐ職場に導入するべきモチベーションアップの方法

社会

64bitへのWindowsの流れ。そして、32bit版Windowsの終焉

社会

再び訪れる「就職氷河期」。縁故優遇政権を終わらせるのは今

政治・経済

微表情研究の世界的権威に聞いた、AI表情分析技術の展望

社会

PDFの生みの親、チャールズ・ゲシキ氏死去。その技術と歴史を振り返る

社会

新年度で登場した「どうしてもソリが合わない同僚」と付き合う方法

社会

マンガでわかる「ウイルスの変異」ってなに?

社会

アンソニー・ホプキンスのオスカー受賞は「番狂わせ」なんかじゃない! 映画『ファーザー』のここが凄い

カルチャー・スポーツ

ネットで話題の「陰謀論チャート」を徹底解説&日本語訳してみた

社会

ロンドン再封鎖15週目。肥満やペットに現れ出したニューノーマル社会の歪み<入江敦彦の『足止め喰らい日記』嫌々乍らReturns>

社会

「ケーキの出前」に「高級ブランドのサブスク」も――コロナ禍のなか「進化」する百貨店

政治・経済

「高度外国人材」という言葉に潜む欺瞞と、日本が搾取し依存する圧倒的多数の外国人労働者の実像とは?

社会